教育福島0041号(1979年(S54)06月)-033page
ヤクルトの空きびん利用で「福俵つくり」を指導する人材銀行登録者
町内の団体、グループ、個人が人材銀行に登録した伝承文化等について、指導、助言を受けようとするときは、その旨を公民館に申し出なければならない。
4、登録者は、登録した伝承文化等について、一般及び団体等から伝承の指導助言の申し出があったときは、その求めに応ずるように努めなければならない。
5、伝承指導助言等のために要する経費については、要綱の趣旨を理解し、やむを得ない場合に限り依頼者と指導者が協議し、双方善意と理解に基づいて決定するものとする。
6、高齢に属さない者で本要綱の趣旨を理解し、後世に残すべき伝承文化等を所持している者は、本要綱により登録することができる。
以上の要綱によって登録を開始したのが昭和五十二年十月であるが、現在登録されている内容と人員は次のとおりである。
○登録者二十五名
○登録の内容(知識・技能等)
浪曲・書道・俳句指導・高齢者体力づくり方法・大津絵(歌)・木竹草を使った生活用具づくり・謡曲・郷土の山菜・野菜の漬け方・農具の焼入れ研磨方法・電気機器精密工具の製作技術・手織の技術・郷土の歴史研究・わら細工・郷土民芸彫刻・郷土愛の講話・園芸・生活礼儀作法
・奇術二百種類
この登録された知識技能は、町民一般に払い出し、それを後世に伝承することを求めている。しかし、高齢者の生きがい対策も含めての制度であるから、払い出しそのものだけに重点を置かず、登録者同志の研修、学習のやり直し(生きがい)という一つの方法も採用し、生がい学習の本趣に添うべく運営している。
伝承又は技術指導の事例としては、地域子供会、少年教室生に対する遊具づくり(竹細工等)、地域婦人に対する郷土の漬けもの指導、郷土の伝説と数え歌、地域老人クラブに対する奇術(手品)披露のボランティア活動、地域青少年に対するわら細工指導、正月用しめ飾りの作り方など、登録者自身の生きがいもふくめての活動と制度の運営を図っている。
「人材銀行登録技術紹介と研修会」
身ぶり手ぶりもあざやかに
「ふるさとの漬け物」を指導する人材銀行登録者
四、人材銀行運営内容
四月 運営内容の協議、登録者による登録技術発表(自己研修)
五月 郷土の史跡めぐりをとおしその歴史的背景を探る(第一回)
六月 登録技術等の実技、実演(自己研修)
七月 民話・昔話等の歴史的背景を探る(学習会)
八月 青少年団体との交歓研修
九月 郷土の史跡めぐりをとおしその歴史的背景を探る(第二回)
十月 草木染めとその織物について(近代工芸研究)
十一月 わら細工・竹細工による日用品・遊具づくり紹介
十二月 登録者研修会、少年教室生に竹細工遊具づくり指導
一月 登録技術作品紹介
二月 登録者研修会「地方自治とふる里」(学習会)
おわりに
本制度をスタートさせて感じたことは、登録者自身が制度に登録したその自覚に誇りを感じているようであるが、制度の趣旨をじゅうぶん踏まえ、広報等の手段を活用し、地域の各層の人々が、歴史・文化の後継者たらんとする意識を持って制度の活用に目を向けるように配慮しなければならない