教育福島0041号(1979年(S54)06月)-039page
者実人数の推移をみてみると、図3のとおりとなり、五十三年度は、四年前に比べ三倍近くの登校拒否児が相談に訪れていることがわかる。
三、「登校拒否」は、早期発見と適切な治療がポイン卜
登校拒否の症状は、段階を追って進んでいく。第一期は心気症的段階で、頭痛・腹痛・気持が悪い・起きられないということで欠席が続く。一週間から十日ぐらい。場合によっては二〜三週間続く。第二期に入ると攻撃的段階になる。親に乱暴する、家具をこわす、物を投げるなどの行動を起こす。第三期は内閉的段階で、昼と夜が逆転し、内にこもってしまう。昼ごろ起きだし、テレビを見たり、レコード・ラジオを聞いたりし、夜は深夜放送を聞くなどをして時間をすごす。
当センターを訪れる「登校拒否」の相談では、大部分が第三期まで入ってしまっており、家庭でも学校でも、その対策に万策つきてしまい、最悪の状態になってしまった事例が多い。相談に来られた親のかたで、心労からノイローゼ寸前の心理状態におちいっていることが多い。
一方、初期の段階で訪れる「登校拒否児」では、相談によって、親の養育態度がよい方向に変容した場合は、短期間で治っているのがほとんどである。したがって、登校拒否には、なんといっても早期発見と適切な治療が一番要求されることになる。
四、教育センター相談活動内容の理解と活用を
当センターの相談活動は、今までみてきた図表にみられる、多岐な悩みに対応し、1)知能・学業2)性格・行動3)身体・神経4)進路・適性5)教育一般をその内容としている。しかし、細かい内容になると、ほとんど知られていなようである。ある母親は、新聞でみて、教育センターで夜尿症の治療を扱っていることを初めて知り、かけつけたこと、ある学校の先生は自分の学校の子供が、登校拒否で教育センターに相談に行っていることを知り、活動内容がわかったことなど、来談の動機はさまざまであるが、これらの例が示すとおり、当センターの相談活動内容が正しく理解されていないのが現状のようです。
以上、相談のどの内容にしても、早期発見、早期治療が効果を期待するうえでたいせつなことである。これを機会に、当センターの相談活動内容を正しく理解され、大いに活用していただくことをお願いしたい。
表1 昭和53年度内容別相談延べ件数一覧表 (53.4.1〜54.3.31)
内容・対象 幼児 小学生 中学生 高校生 一般 教員 小計 合計 1知育・学業 1)知能発達遅滞 2 7 2 11 35(3.6%) 2)知能横査 9 9 3)学習のしかた 2 2 4)学習意欲 1 1 5)学業不振 10 10 6)集団不適応 2 2 2性格・行動 1)自閉症 64 30 1 95 809(83.8%) 2)自閉性言語発達遅滞 143 1 144 3)分離不安 5 5 4)集団不適応 1 5 1 15 2 1 25 5)場面緘黙 28 2 3 33 6)多動性 14 16 1 5 36 7)登校拒否 102 102 55 28 33 416 8)怠学 20 1 21 9)非行 2 7 15 2 26 10)粗暴 1 1 2 11)うそつき 1 1 12)学業不適応 1 1 13)内気 3 1 4 3身体・神経 1)夜尿症 1 53 102(10.6%) 2)吃音 1 52 1 6 3)チック症 4 2 2 4)心因性ぜん息 11 5)欲求不満 11 1 6)起立性障害 1 3 1 4 7)微細脳損傷 1 3 1 5 8)偏執症 7 7 9)自閉性精神病 1 1 10)アレルギー性紫はん病 3 3 11)生理痛 3 3 12)神経症 3 2 1 6 4進路 1)進路の悩み 1 1 2 2(0.2%) 5教育・一般 1)性格検査等 11 11 102(1.8%) 2)自閉症研究 1 1 3)事例研究 2 2 4)心理診断法 2 2 5)学校経営 1 1 合計 235 287 216 125 45 57 965 965 24% 30% 22% 13% 5% 6% 6% 100%