教育福島0041号(1979年(S54)06月)-044page

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福島の文化財

県指定重要文化財 木造阿弥陀如来坐像 一◆

 

ル内銘に出てくる可真竜江(湖山寺=現陽泉寺の住持)を開山とすると伝えている。

 

善性寺は福島市下鳥渡陽泉寺の国重文木造釈迦如来坐像(乗円作)の胎内銘に出てくる可真竜江(湖山寺=現陽泉寺の住持)を開山とすると伝えている。

本像は像高四十五センチメートル、今は欠落しているが元来は二段、三段に結い上げた高い宝◆がついていたであろう。妙観察智印を結ぶ小型の宝冠阿弥陀である。寄木造り、漆箔、玉眼嵌入の像で、頭部は首◆(ほぞ)で体部に差込む。切長の眼、引きしまった口唇、膝にかかる彫の深い複雑な衣文などの処理に、中国宋風の影響を受けたいわゆる乗円仏共通の造形がみられる。

胎内銘には「干時貞治二年九月十九日合斯像、作者定朝門弟子大夫法眼、於今成僧号道円而作之、並治部法教乗円添之作也」とある。本県に乗円銘を持つ仏像が前記陽泉寺の釈迦如来を含めて五体ほど残っているが、いずれも共通の手法をもっている。このように同一仏師のある作品が集中的に存在するのは珍しく、資料的価値も高い。

 

 

 


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