教育福島0042号(1979年(S54)07月)-006page

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特集 養護学校教育義務制の

現況と展望

(郡山養護学校)

 

一、養護学校教育義務制の意義

 

一、養護学校教育義務制の意義

 

(一) 養護学校教育の義務制スタートにあたって

 

「すべての国民は、基本的人権が尊重され、ひとしく教育を受ける権利を有すること」これは日本国憲法での国民的誓約である。

このような精神を背景に、昭和二十二年三月、教育基本法、学校教育法が制定され、我が国教育の基本は確立されたのである。

学校教育法は、従前の勅令による各種の学校令を統合した学校教育に対する総合的な規定であり、これによって心身障害児を対象とする学校、すなわち、盲、聾、養護学校も小・中学同等学校等とともに同一法規にまとめられた。

このことは、障害児の教育を健常児の教育と同一次元において制度化したという点で重要な意味をもつものである。しかし、この教育制度の中で、小・中学校、盲聾学校(小・中学部)と同様、義務教育の学校と定められていた養護学校(小・中学部)の義務制施行のみが、諸般の事情から未実施となっていた。

その後、関係者の強い要請等に基づいて国、県、市町村では、義務制の円滑な実施のため、計画的な条件整備等所要の準備をすすめ、本年四月一日から養護学校教育の義務制が実施に移されたのである。

この養護学校の義務制スタートによって、すべての国民にひとしく能力に応ずる教育の機会を保障することとなり、我が国の義務教育が制度的には完成したことになる。

義務化を迎えて、過去百年の間、恵まれない条件の中で心身障害児教育の基礎を築き上げられた幾多の先人の偉業に敬意を表し、今後いっそう県民各位の理解と協力を得ながら養護教育振興のための努力がはらわれなければならない。

 

(二) 養護学校教育の義務制と展望

 

養護学校教育の義務制施行は、養護教育の概念、学校教育とか義務教育とかの見解そのものの変更を求めるような極めて大きな問題を提起するに至っている。

今から十年ほど前まで知的発達遅滞児を教育の立場から分類する場合に、教育可能、訓練可能、保護相当の三段階に分類することがあった。

この考え方から学校教育の対象とするものは、教育可能の段階であるという主張があり、障害の重さに限度を定めて極端に障害の重い者、重複している者は、養護教育の対象からも除外されていたのである。

これが今や寝たきりの重度重複障害児を学校教育の対象とすることに疑いをもつ時代ではなくなっている。

したがって学校教育は、学校という

 

 

 


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