教育福島0042号(1979年(S54)07月)-010page
6、健康の保持増進、安全習慣の育成
危険から身を守る方法を具体的に指導するとともに、学校施設、用具の管理保全に注意を払い、さらに、計画的な健康教育にあたる。
7、実態に即した進路指導の充実
進路指導を全体計画の中に正しく位置づけ、指導の徹底を図るとともに、進路情報、資料を収集整理し、計画的ガイダンスにあたる。また、自己の障害を理解し、その障害に基づく種々の困難を克服しながら進路を設計させる。
8、地域社会の啓発
全職員が養護教育に対する正しい認識と共通理解を持ち、健常児と障害児との交流を深めるとともに、広報活動を活発にし、養護教育についての社会啓発を進めるよう努めたい。
三、障害にあった教育の手だて
一 心身障害児のためのいろいろな学校
心身に障害を持っている子供のための学校として、それぞれの障害の種類や程度に応じていろいろな教育の場が設けられている。
障害が比較的軽度の場合は、一般の小・中学校の通常の学級又は、特殊学級で指導が行われることになるが、学校教育法施行令第二十二条の二の表に示される心身の故障の程度の子供は、盲学校・聾学校・養護学校に就学することとなっている。
養護学校(精神薄弱・肢体不自由・病弱)については、昭和五十四年四月から義務制になり、これらの子供を持つ保護者は、それぞれの学校へ就学させることが義務づけられた。
県においては、心身に障害を持った子供たちに、少しでも障害を軽くし、一人一人の能力を最大限に発揮できるように学校を設置している。(表2)
また、近年対象児の障害は重度化多様化の傾向が著しく、いくつかの障害を合わせ持っている場合も、その主となる障害の学校へ就学し、その中で特別な指導を受けられるよう配慮されている為特に、障害が重く養護学校へ通うことが不可能な子供の場合は、養護学校から先生が直接その家庭を訪問して指導する訪問教育を実施している。
● 目の不自由な場合
目の不自由が治療によってよくならない場合でも、教育によって子供の能力をじゅうぶんのばすことができる。
視力が弱い場合は、絵や文字を大きくしたり、レンズ類を使って学習がすすめられている。
目が全く見えない場合には、触覚的教材による指導を主体に事物の認識や関係の理解をもとに、点字の読み書きや一人歩きの学習を行うなど、目の不自由な子供の教育を行う学校として盲学校がある。
● 耳の不自由な場合
耳が聞こえない、あるいは通常の話声などを解することがふじゅうぶんな子供に、補聴器の使用による聴能訓練、音やことばの聞き分け、発音やことばの指導を行って、意志の表出・受容を可能にするとともに、文字の習得を図るなど耳の不自由な子供の教育を行う学校として聾学校がある。
● ちえおくれの場合
現在にいたる経過、つまりちえおくれの原因がどの時期にあって、現在の障害の程度がどのくらいか、さらにどんな取り扱いをされてきて、現在の状態はどうかを調べる。そしてちえを発達させる手だてを考えたり、たとえ、そのものの発達がそれほどのぞめない場合でも身の回りのことを自分で始末したり、集団生活がじょうずにできたり、作業などがきちんとできるようにする。そのようなちえおくれの子供の教育を行う学校として精神薄弱養護学校がある。
● 手足の不自由な場合
一般の小中学校では、身体機能の障害のため学習や生活が難しい子供を対象として、手指の訓練、歩行の訓練、日常生活の訓練を取り入れて教育を行っている。それぞれの学校に寄宿舎があり、自宅からの通学もできるが、医療の必要がある場合には、隣接の医療施設に入園して教育を受けられる学校として、肢体不自由養護学校がある。
● 病気やからだが弱い場合
病気には、急性疾患・慢性疾患の場合があるが、慢性の場合は、長期の治療を必要とするので教育を治療といっしょに行うことが、子供の心とからだによい影響を及ぼすといわれる。
からだの弱い子供の訓練を含めて医療と一体となってこれらの子供の教育を行う学校として病弱養護学校がある。
石川養護学校開校式風景