教育福島0042号(1979年(S54)07月)-016page
全国的な傾向として、障害の重度化があげられるが、本校の場合もその例にもれず年々重度・重複の児童生徒が増加の傾向にある。養護学校教育義務制を迎えより重要な課題としては、養護教育機会の拡充をめざし、就学猶予・免除の対象児を含め、重度・重複障害児の就学をより適切に進め、病類及び障害は握の実態に即した教育の推進をどう図るかにある。
本校においては、本年度より開始された訪問教育(五学級)を始め、普通学級(十)、特別学級(一)、施設内学級(五)計二十一学級編成で授業が行われているが、年次計画による校舎、特別教室の増築及び施設設備の内容充実計画が着々進行に移され、重度・重複化に対応する環境の整備充実が進められている。
特に、養護教育にたずさわる教師としては、「養護教育の基本的な考え方」に基づき、全職員の共通理解と資質の向上をめざし、研修と実績の積み重ねにより、子供たちの「より良い明日をめざす教育を」と考える。要は、重度・重複障害児といっても、その実態は様々であることにかんがみ、実際の教育にあたっては、それを画一的に考えることなく、個々の者の心身の状況を出発点として、これに対応した教育の実践を行うという基本を踏まえて、取り組んでいる。
一般普通校との交流、宿泊訓練、校外学習、さらに、地域社会の協力を得て障害児への正しい理解の推進と励ましを求め、社会的自立の強化を図り、子供たちの幸せを念願するものである。
(2) 保護者との提携について
現在、本校では訪問教育を除き、本校寄宿舎もしくは、隣接施設に入所して通学したり、施設内で授業を受けたりしており、指導性を深めるため、
● 生活訓練について学校と家庭との指導提携
● 地域差による社会性の啓発をめざす指導
● 父母と教師の会の計画的な研究会
● 地域社会との交流
● 進路開拓の柔軟性をめざす事を目標に次のような行事を実施している。
● 親と子のラポート形式をはかり、介助と協力性をもつものとして校内スポーツ大会、春季・秋季遠足、修学旅行等があげられるが、施設、寄宿舎及び学級意識をこえ、集団行動のもつ楽しさと行動参加の意義を深めている。
● 保護者授業参観及び懇談会は、父兄がそれぞれ遠隔地にいるという障害をのりこえ、児童・生徒の学習、施設及び寄宿舎生活実態、訓練状況、進路について資料をもとに、綿密な話し合いを進める。
● 父母と教師の会研修旅行は、毎年一回スクールバスを利用して行われるが、近接推進校の指導の実態を見学し情報交換を通して、研修領域を広げ、父母と教師の望ましいあり方及び協力体制を高めるものである。
● 会報「きずな」の発行は、多数の保護者の感想、意見をとりあげて、研修会や研究会の模様を周知させ、父兄相互の理解を深めている。
● 長期休業を前にした連絡会では、学校より家庭生活へ移行するたいせつな要素を持つものとして、指導資料をもとに、保護者の子供に対する接し方や生活習慣などの指導性を期待しているものである。
「がんばれ、がんばれ」− 親子の綱引きに大歓声 (四倉子供村で)
3、県立須賀川養護学校竹田分校
(1) 義務制にあたって思うこと
病虚弱教育の領域では、例年と異なったことはみられない。しかし、次のようなことは、少しずつあらわれている。
● 重複障害児の入級が出てきている。
● 比較的多く、神経症児がふえている。
● 症候性の急性疾患児が増加している。器質的な者は、定着している。
これらの事からすれば、地域の関心がひろくなり、医療スタッフの見る目が鋭くなったと推察できる。
(2) 保護者との提携について
● 治療指導効果の向上を目指して、治療指導を進めているが、その効果を高めるのに、保護者のニーズや育児態度を明らかにし、その変容を意図している。
● 養育教室を通して
これらを資料にして、養育教室を設定し、保護者の理解と協力を得ている。目的は、次のようにすえている。
・治療指導者グループと親とのラポートを深めるとともに、親の不安をなくす。
・親との