教育福島0042号(1979年(S54)07月)-019page
このように、三十六名の児童生徒が措置換えになっている。このことは、訪問教育の効果に負うところが大きく、そのことによって、通学や集団生活に対する順応性を高めたといえる者がいることはたしかであるが、診断技術の未熟さ等によってこうした結果となった者も混入していることを謙虚に受けとめ、適切な判断とその処置にいっそう努力していかなければならないものと考えられる。
(2) 指導員
指導員の配置は、昭和五十三年度までは、児童生徒四名に対し一名の割合で行ってきた。この内容は、表12のとおりである。
(3) 対象者の障害状況
年度ごとに児童生徒数が異なるが、障害状況に視点をおいて通覧すると、概ね次のような割合を大きくはみだすこともなく経過してきていることがいえるようである。
(三) 昭和五十四年度の訪問教育
1、訪問教育の位置づけ
養護学校等の教育は、障害の程度が学校教育法施行令第二十二条の二に定められた児童生徒の能力、適性等に応じた適切な教育を行うものであることはいうまでもない。近年、この考えがより重度の者へと下降傾向がすすみ、昨年七月、文部省は養護学校教育の義務制を前に、心身障害の状態が重度又は重複しているため、通学して教育を受けることが困難な児童生徒に対して訪問教育を制度的に養護学校教育の一形態とすることを明らかにした(3)。
これは、訪問教育が、養護学校等における教育の一形態であるとはいえ、この対象となる児童生徒は、心身障害の実態からみて、大部分が養護学校教育の対象となる肢体不自由又は病弱と精神薄弱であると考えられることによっている。
2、本県の実施状況
昭和五十四年四月一日からの養護学校教育の義務制施行に伴い、前年度まで県立郡山養護学校籍を付与していたものを、訪問教育対象児童生徒の居住するもよりの養護学校へ籍を移し、そこから教員を派遣して教育を行うこととした。五月一日現在の各学校の児童生徒及び教員数は、表14に示すとおりである。昭和五十三年度の児童生徒数が七十二名であったので、本年度は新たに四十三名増ということになる。これを、障害別にみると図2のとおりである。
前項1でも述べたとおり、対象者のほとんどが肢体不自由、病弱、精紳薄弱が占めており、今後もこの比率が大きく変わることはないものと考える。
図2 訪問教育対象児童生徒の障害別割合
3、教育の方法
(1) 形態
障害の状態が重度又は重複しているため通学できない者に対する教育の形態としては、在宅訪問、施設訪問、病
表11 年度別措置変更者数
就学先・年度卒 49 50 51 52 53 小学校 2 3 1 3 0 養護学校等 2 6 4 3 0 児童福祉施設 2 3 3 0 4 計 6 12 8 6 4 (注)昭和53年度になって、いわゆる通常の小学校への転学者がいなくなったことがわかる。このことは、現在訪問教育を受けている者のほとんどが、障害が重度であったり重複していたりする者になり、固定してきていることを示している。
表12 年度別指導員配置数
49 50 51 52 53 県北 2 4 4 4 6 県中 1 1 2 2 3 県南 0 0 0 1 1 会津 1 1 1 2 3 相双 0 0 0 1 1 いわき 1 3 3 3 4 計 5 9 10 13 18
表13 対象者の障害別割合
肢体不自由 55% 精紳薄弱 25% 病虚弱 8% 視覚・言語 4% 視覚 4% 自閉症 4%
表14 学校別児童生徒・担当教員数
学校名 児童生徒数 担当教員数 大笹生養護学校 23 5 郡山養護学校 21 5 須賀川養護学校 14 3 西郷養護学校 7 2 猪苗代養護学校 11 3 平養護学校 22 5 富岡養護学校 9 2 計 107 25