教育福島0042号(1979年(S54)07月)-039page

[検索] [目次] [PDF] [前] [次]

○理科教材指導のてびき(中学校)

一・二分野の各学年にわたる指導事項六十四項目についての解説。

これらは、先生がたからよく質問を受けること、あるいは、より効果的な実験観察のくふう等を中心に、各分野、各学年にわたって解説したものである。

○理科野外観察指導の手びき(小・中学校編)

小・中学校の学習指導要領、教科書等に取り上げられている生物、地学関係の三十七項目について、福島県に適用した場合、どう具体化できるかを、県内各地の植物や地質の実態を豊富な写真や図版を例示しながら解説した。また、この本は、遠足や野外活動に携行すれば便利なガイドブックにもなる。

○小学校理科教材指導のてびき(実験観察機材編)

理科教育の現代化、指導内容の充実には、実験・観察を重視しなければならないし、新学習指導要領では、従来にも増して、実験・観察が強化されている。これらに関連して、教科書に載っている実験観察機材、薬品をほとんど取り上げ、取り扱い方を各学年における教材に焦点を合わせて平易に解説した。

○理科教材指導のてびき 改訂版(小学校)

新学習指導要領の告示に伴い、テーマ、内容を精選、修正して今春刊行した。

構成は前回と同様に三領域、各学年にわたり四十九項目を解説した。

〇浜通りの地層と川のはたらき(小学校)

浜通りの小学校百二十三校の周辺のがけや川原の教材化についての解説。

小学校C領域では、身近な川原や地層の観察が教材に取り入れられているが、地学の学習活動でたいせつなことは、直接経験を通して自然界から学びとらせることである。しかし、自然はあまりにも複雑多様であり、自然の姿を選択し教材化することは大変難しいので、野外学習の必要性をじゅうぶん認めながらも教室での授業に終始しがちである。

そこで、理科における野外学習を一層推進するために、各小学校周辺の地層や川原、遠足等でよく訪れる名所などの自然を対象として、具体的に、

○野外における理科指導をどのように進めるか。

○学校周辺の自然を地学教材としてどのように活用するか。

の観点に立って、三年計画で県内各小学校付近の調査研究を行っている。この研究の第一集がまとまり刊行されたもので、第二集以降は、中通り、会津の各小学校を載せていく予定である。

以上、主として小・中学校対象の研究成果を紹介したが、今後は高等学校を対象とした物理教材・教具について「高校物理指導資料」を刊行する予定である。

 

理科の自作教具の一例

 

理科の自作教具の一例

 

四、教材・教具の研究開発

 

探究の過程を重視した理科の指導を展開するには、創意くふうを加えた効果的な問題提起が必要であり、また、問題を解決するには、実験・観察が不可欠の場合が多い。このため学習の内容、程度、あるいは児童・生徒の実態に応じた実験・観察の方法や機器が用意されなければならない。

さらに、実験教材の新しい展開法を開発するとか、また、従来の実験機器に大幅な改善を加えるとか、現象を顕著なものにするための機器をくふうするなどの、いわゆる教材・教具の研究開発は極めてたいせつなことである。

このような視点に立ち、五十一年度から「理科教材製作材料費」として、理科教育における設備を製作するための材料を購入する必要経費の補助が行われている。しかし、実際、現場で教材製作をするとき、その設計などがじゅうぶんでない場合が多いので、当センターでは、現場の要望にそった教材・教具の研究開発を行い試作品を製作している。また、研究開発された教材・教具は小・中学校の研修講座に取り入れられ、その製作品は各学校に持ち帰られ、広く活用されている。教材・教具の研究開発は現場の要望が非常に強く、今後いっそう充実させていきたいと考えている。

これまでに開発した教材の例には、・フランクヘルツの実験装置・電気容量測定比較器・簡易スターラー・イオン化電位測定器・天体透視観測板・太陽高度測定器・電気刺激装

置・刺激伝導実験器とプリアンプ

などがある。

 

五、おわりに

 

小・中・高等学校の学習指導要領が改正され、五十六年度から順次実施されることになり、今後ますます研修の重要性が増してくると考えられる。

研修と研究は表裏一体をなすものであり、研究の成果をじゅうぶんに取り入れ、より充実した研修講座にして、さらに先生がたの期待・要望にこたえられるよう努めていきたい。

 

 

 


[検索] [目次] [PDF] [前] [次]

掲載情報の著作権は情報提供者及び福島県教育委員会に帰属します。