教育福島0043号(1979年(S54)08月)-007page

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●進路指導が校内全体のものとなるような組織となっているか。

●進路指導を努力目標や重点目標に取り上げ、全職員の共通理解のもとに実践しているか。

●指導資料の整備や能力適性等を生かした個別指導をする上から、進路指導の校務分掌上への位置づけや、係(部)員の人数が適切であるか。

●進路指導主事の職務内容が明確にされており、単なる就職係となっていないか。

●教師間の進路指導に対する認識や指導力の差をなくすため、進路指導に関する校内研修を計画的に実施しているか。

 

三、 進路指導主事

 

進路指導主事が制度化されたのは昭和二十八年であり、それは職業指導主事としてであった。その後昭和四十六年進路指導主事と名称が改正された。進路指導主事の果たすべき職務の内容は、進路指導の手引(文部省編)によると次の内容があげられている。

1 学校における進路指導の中核として全校的な協力体制を推進し、進路指導に関する全校の連絡調整に当たる。

2 進路指導に関する年間指導計画の立案、校内研修等の企画運営の責任者となる。

3 進路指導において特に専門的知識や技術を必要とする面の担当者となるとともに、学級担任の教師等の行う指導を援助する。

4 生徒理解のための個人資料の収集の企画(諸調査・検査等の企画実施を含む)整理、活用を推進する。

5 進路に関する情報資料の収集、整理活用を推進する。

6 相談室、資料室、進路指導関係の施設・設備の管理運営に当たるとともに直接進路相談にも携わる。

7 職業安定機関、学校、事業所をはじめ校外の関係機関や団体との連絡に当たる。

以上に示されているように、進路指導主事はその学校の進路指導の中核となって推進する立場にあり、重要な役割を担っていることが理解できる。したがって次のことに配慮する必要がある。

●進路指導の組織の中心者、責任者に位置づけているか。

●輪番制や三年担任の中から選ぶ短期交替制をとることなく、適任者を選任し、少なくとも五年くらいはその任に当たらせているか。

●学校実情によって異るが、できれば担任をはずすとか、授業時間の軽減をはかる等の措置を講じているか。

●進路指導主事は、就職担当者との考えになっていないか。

●第三学年の具体的な進学関係のことであってもその推進の中心者にすえているか。

●学級担任の行う進路指導への協力や助言などが可能となる条件やふん囲気づくりにつとめているか。

●進学関係の文書を含め、進路指導関係の一切の文書を回付するようにしているか。

 

四、 条件整備

 

進路指導に必要な施設・設備としては、相談室、資料室、進路コーナー、関係図書類、資料整理戸棚、検査器具、相談票等である。

●これら施設・設備の充実、整備が図られているか。

●施設・設備の有効な活用や改善への不断の努力がはらわれているか。

 

五、 校内研修

 

進路指導は、生徒が自分の価値について自覚し、将来の社会においての活動について深く考えることのできる能力を育てるものである。この指導に当たる教師が進路指導の意義や必要な専門的な技術や方法について研修しその意味での共通理解をしていることが大事であることは述べるまでもないことである。

●校内研修計画の中から進路指導に関する研修が姿を消していないか。

●進路指導の理論面の研修と同時に個人資料、進路情報に関する理論と実際や、一人一人の生徒をより生かすための進路相談についての理論と実際の研修が絶えず行われるような計画になっているか。

 

六、 学級指導における指導

 

中学校において最も力を入れねばならない進路指導の部面は、進路の選択が正しくできる素地を育てるために立案された年間計画の研究と、これを実施していく学級指導の指導技術である。年間計画に基づく進路指導の題材を、生徒がどのように学習し、教師がどのように援助していくか、この学習が充実したとき、そこにはその生徒の個性に応じた進路の目標が輝いてくるであろう。そしてその目標をつかまえた生徒は、生き生きと自分の進むべき道を自主的な計画のもとに歩み続けるであろう。こうした目標のある進学や就職や家事・家業の進路をみいだすことを援助し、その指向力を養うのが、進路指導を受け持つ学級担任の重要な領域であり任務である。

職業や上級学校についての基礎的理解いわゆる進路情報の指導については、生徒の理解度や欲求のそれぞれの段階に応じた発展的系列に従って指導をすすめることがたいせつである。

1 第一学年の段階

一年生では、職業と産業の区別も定かでない。その解明から始め、職業生活に対する疑問や問題点を、身近かな職業に例をとり追求させる。将来の夢や希望の実現を勉強に求めることをわからせ、勉強の機会を調べさせる。一年生の段階では深入りすることなく総体にわたる学習とする。

2 第二学年の段階

本格的な進路研究に入る。いくつかの職業を選んで研究させるが、その職業をばらばらに研究させるのではなく、「どうすればその職業に就くことができるか」というような観点をきめ、教育程

 

 

 


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