教育福島0043号(1979年(S54)08月)-009page
四パーセントあるといわれ、中学生の六十五パーセントが将来の進路について不安と悩みを持つといわれている。高校生活の不適応と非行、自殺等の社会問題も、進路指導の問題としてとらえることができるのではないだろうか。
ここに一人一人の生徒の進路を見定め、実現のために指導し、援助することの難しさがある。
二、 進路指導についての考え方
進路指導は、生徒みずからが自己の進路について考え、個性に応じて進路を選択したり、さらに将来の生活において職業的自己実現が図れるような能力や態度を育てることを目的としている。
すなわち、進路指導は「人間の生き方の指導」であり、中学校教育の目標そのものといっても過言ではない。
したがって、進路指導を生徒一人一人の能力や適性のは握につとめるとともに、学校教育活動全体の中で、すべての教師が参加して、組織的、計画的・継続的に行えば、生徒は正しい職業感を持ち、自己の能力・適性に応じた進路の選択ができるであろうし、将来よりよく自己実現を図っていくことができるであろうと考える。
中央講座に参加して得たことと、本校の今までの経過をまとめ、今後の指導の指針となるよう指導計画を作成し、実践したことを紹介する。
三、 進路指導の改善のために
(一) 共通理解と協力体制の確立
進路指導即進学対策・就職斡旋という考えが支配的である風潮の中で、真の進路指導を行うためには、進路指導が人間の一生にかかわる問題であるというとらえ方を認識する必要がある。
すなわち、進路指導の理論の理解以前に、毎日成長している一人一人の生徒を、教師としてどう見つめ、どう育て、どう生かそうとするかを、生徒の将来の姿を描きつつ、教師が考えていけば、おのずから道は進路指導に結びついてくる。
そのための進路指導主事の役割は重大である。校内における進路指導の中核として、その責任の重さを認識するとともに、常に研修と校内における協力体制の確立のために努めなければならない。また、三年の学年主任が進路指導主事を兼ね、一年限りでは地についた進路指導はできないという説もある。一考を要することである。
進路指導の組織は約半数の学校におかれているにすぎない。学校の実態に応じ、進路指導主事を中心とし、すべての教師が、それぞれの役割に応じた分担・協力によって、実践化が図れる組織をつくるべきであろう。
(二) 進路指導計画の整備
進路指導は学校の教育活動全体を通じて行うべきであり、進路指導をいっそう充実・改善していくためには全体計画を適切に立案し、それに基づいた諸計画を整備し、それらが他の領域と有機的に結びつきながら、発展的・継続的に実践されていかなければならないといわれるが、あまり複雑多岐な計画で、円滑を欠く結果となるよりは、学校の実態、生徒の実態に応じた計画実践化に結びつく計画でありたい。
本校の進路指導全体計画
1) 進路指導の目標
学校の教育目標「健康で礼儀正しい生徒・進んで学びよく働く生徒・よく考えて実行する生徒」の具現化のために進路指導目標を次のようにした。
・自己の将来のために、学習に励まなければならないという意欲的な生活態度を育てる。
・進路相談を重視し、一人一人の長所を伸ばし、自己理解を深めさせ、保護者への啓もうに努める。
・学年に適した進路情報を与え、正しい職業感を育成し、自分の将来を自分できり開いていく態度を育てる。
2) 学年目標
一年 将来の職業に関心を持ち、進路希望と関連した学習計画を立て、その実現のために努力する。
二年 進路についての情報を理解し、自己の努力と将来の進路をくらべ、充実した進路計画を立てる。
三年 自己の特性と進路を結びつけ、進路を決定し、希望実現のために、さらに努力する。
3) 進路指導計画
(三) 進路相談の実施
進路相談は生徒が当面している問題を解決して、自己の適切な進路をみずから主体的に選択・決定できるようにしその進路において自己の力をじゅうぶん発揮できるように援助していくことである。
すなわち、教育相談の一部であるから、進路の問題を中心にして、学習面、生活画の問題解決を図ることも可能である。
相談は待つことから始まるといわれるように、自発的来談による相談が理想である。そのためには、日常生活の中での教師と生徒のラポートづくりに努めなければならない。また、相談に当たっては、先入観にとらわれない、生徒の発言に傾聴する。生徒の主体性を尊重する等の態度が必要である。
相談の機会も、あらゆる場で、短時間の中でもとることが可能であるといわれる。
しかし、現実には生徒の相談相手として教師の位置はきわめて低い。いかにして良き相談相手となれるか、考えてみる必要があろう。
本校の進路相談
本校では、昨年から生徒・保護者・担任教師による三者相談を実施し、一、二年では生徒の進路希望が確認でき、今後の努力すべき点を明確にし、進路