教育福島0043号(1979年(S54)08月)-010page

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学習への関心を高めることができた。また、父母に対して、子供の進路選択のためには能力・適性を理解することがたいせつであることを認識させる一助となったと思われる。

三年では、九月に、進路目標の明確化と努力すべき点について、十二月から一月にかけて、進路決定のために三者相談を実施し、その効果は大きかった。

この他、チャンス相談、呼び出し相談を実施してきたが、自発的相談が非常に少ないことは残念である。

また、今年度は、ゆとりの時間を利用し、毎月第一月曜日の放課後を「教育相談日」とし、進路相談を含めた教育相談に当たっている。

 

(四) 学級における進路指導

学習指導要領に示されている学級指導の五つの内容はすべて、進路指導とのかかわりを持ち、それぞれを密接に結びつけ、指導することがたいせつであるとされている。

しかし、学級指導において行われる進路指導は、主として集団指導であるから、生徒の自主的・実践的活動が中軸になるように配慮すべきであり、生徒一人一人が、自分の課題として意識し、みんなで協力して問題解決のために活動するという組織づくりとその定着がたいせつである。

また、集団指導から個別化への発展性をもたせ、進路相談に結びつくようにしたい。

次に、学級指導の時間の中で、進路指導のための時間の確保(三年間を通じ最低四十時は必要といわれる)と完全消化につとめるためのくふうと配慮が必要であるが、本校では進路指導の時間が少ないので、その分を短学活や放課後等においてカバーしているのが現状である。

 

(五)  啓発的経験について

啓発的経験とは、自分の能力や適性その他の個人的特性を、また、特定の進路・職業に対する自己の適・不適を再吟味する機会となるような現実的体験のことである。また、体験をとおして職業・進路に関し学習する機会でもあるといわれる。

教師は、生徒に自己をためす機会と場を数多く用意してやることがたいせつであるが、あらたまった計画でなくとも学校行事の勤労・生産的行事との関連において、または、修学旅行等において、計画・実践することは容易であろう。

 

本校の勤労学習

本校生徒の家庭のほとんどが農業を営んでいるにもかかわらず、生徒の手伝いの場が少なく、勤労意欲が低調である。

本校では、今年度、校舎内外の美化と生徒の勤労精神の高揚をはかるため、毎週水曜日の放課後四十分を、愛校作業の時間とし、生徒と全職員が一体となり、計画的に作業にとりくんできた。

就職した生徒が、仕事のきびしさに泣くことのないよう、体を動かすことの経験をとおして、勤労のきびしさとともに、働くことのよろこびと尊さを身につけさせていくことが、進路指導の理念である自己実現に結びつくことと思われる。人生にはゴールがない。その時、その場で最大限の努力をしていくことが、職業的成功に結びつくことになることを体験をとおして身につけさせていきたい。

 

四、 今後の課題

 

本校の進路指導がまだ軌道にのっていないし、私自身まだ実践らしい実践がない。進路指導を中学校教育の目標としてとらえ、その充実のために次の点について努力していきたい。

(一) 進路指導についての共通理解をさらに深め、協力指導体制を確立する。

(二) 進路指導の全体計画を改善するとともに、部門別計画を作成し、その実践化につとめる。

(三) 生徒理解を深めるための観察・調査のあり方と記録の累積に努力し、その活用をはかる。

(四) 進路情報の収集につとめ、保護者に対し、子供の進路についての正しい認識を深め、協力を得るために努力する。

 

定期進路相談計画 第3学年

 

相談内容相談のねらい相談上の留意点
6〜7月 ○進路希望調査から
○進路と学習・生活の問題
○自己理解と進路適性の問題
・進路希望の自己確認をさせ、それを希望する理由を将来の自分の姿から表明する
・進路希望実現のため、どんな心構えと努力が必要かをつかませ、実行にうつす意欲を育てる
・自分の特性をよく理解させると共に、進路に適正能力があることを理解させ、それが深い関係にあることを知らせる。
・相談してよかったという配慮をし自発的相談のきっかけをつくる。
・進路希望調査をよく検討し問題点をつかんでおく
・成績の問題を表面に出さず、充実した生活が送れるようにする。
・自己の能力が努力によってさらに向上するものであることを理解させ、意欲的に生活できるようにする
1〜2月 ○進路決定や進学・就職における具体的問題
○進学・就職の心構えについて
・自分にとって最も適切な進路選択かどうかを確認しあい、希望実現のためにより充実した生活を送ろうとする心構えを養う
・高校入試前の心構え、就職についての心構えを持たせ、進路決定後の生活が有意義に送れるようにする
・生徒の悩みや不安を解消してやるとともに進路決定を自らの問題としてとらえその解決に努力するよう勇気づける

 

 

 


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