教育福島0043号(1979年(S54)08月)-037page
● 複式指導では
・教師の適切な指導で学習の整理をする
・児童みずからの力で学習させる
※ (A)・(B)の組み合わせのくふう
※ 基本過程は原則として同じ
(三) 本校の実態にたって、特に配慮したこと
(1) 課題のつかませかたについて
低学年 教師が与える
中学年 教師と児童が協同で
高学年 児童だけでなんとか発見
というように、発達段階に応じて指導する。
○ 学習計画は全時分おさえて、全体の見通しをもたせる。
○ 課題は握の段階で、常に学習計画にそって確認させる。
(2) あしたのための課題
○ 予習内容は、学習のくりかえしにより、児童の手で見つけさせる。
○ 内容および方法分析により、最低のものから最高度のものまでを能力差に応じて、全員にさせる。
※ 必要によりプリントで与える。
(3) 複式への導入
○ 基本過程と直接・間接指導の組み合わせ、二学年間の効果的なずらしのくふう、順序を変えた新しい段階も取り入れる。
(4) ノートの使わせ方
(四) 補助する要件
学習訓練
(1) 学習のきまりづくり
基礎的な学習態度づくり、話型訓練、リーダーを中心としたグループ学習のしかたを重点に訓練する
区分 低学年 高学年 学習のきまり ※内容略 話し方 聞き方 ノート
○ カードに印刷し、机上にはる。
○ 教室前面に掲示する。
(2) 家庭学習法
家庭学習は習慣化されてきてはいるが、より効果的な、主体的な家庭学習をねらい「家庭学習のてびき」を作成した。なお「おうちの方へお願い」もそえた。参観日等に、話題のよりどころにする。
(3) 余暇の利用について
基礎学力をしっかり身につけさせる方策として、余暇を児童に負担なく活用させる。
○漢字カード・計算カードの使用
○進級方式による活用
○朝・放課後の時間の利用
(4) 個人診断カルテ
○ 学習のきまりにそって、常に各個の学習ぶりをつかんで、正確な目で対処するためカルテを作成
○ 活用のしかたとしては
●個々児童の学習への取り組みのようす、児童の陥没点等を診断し、個別に指導を加える。
●指導過程、課題設定において資料とし、次時の授業に生かす。
以上のような内容を、組織的に授業にとり入れて、授業研究を通して、実証的に実践を進めている。
立体的学習としての児童の学習発表
四、 さいごに
児童の学習しないわけをおしつめて考えてみると、児童自身が学習を楽しいと思っていない点にあるように思われる。これは、教えることを中心とした学習指導を進めてきたために、児童自身は学習の目標がはっきりしないまま受身的な学習にとどまり、知識面ではある程度身についているが、問題解決の力は不じゅう分という実態が表出したと思える。左の表でみると、研究のスタートの時点に比較して、意欲がでてきたようにとらえることができる。
今後はさらに、学習の質的な面から児童にもっとくいこんだ授業を実践し、実感として「わかった」「できた」という喜びを与えるために
○学習のしかたとは
○みずからの力で学ぶとは
○みずから見つけだす課題とは
○主体的学習のための学習過程とは
等、本校の児童の実態に合うという条件のもとに見直していってみたい。
本年度から、単式学級より複式学級が多くなり、その点からもさらにくふう改善しなければならない点が多くなったが、教師みずからが、児童の主体的な学習態度を育てる学習指導の改善に努めることにより、児童みずから学習しようとする態度への変革と学力の向上をはかろうと共通の基盤の上に立ち、よりよい成果をめざしたい。
家庭学習についての実態調査から
調査項目・年月 52.5 53.1 54.1 1 進んで家庭学習をする 21% 44% 61% 2 帰ったらすぐ勉強する 31 46 63 3 予定をたて家庭学習する 27 32 46 4 わからないところがあっても自分で何とか解決する 9 14 37 5 予習,復習はよくやる 4 12 40 6 毎日必ずしている 7 23 50 7 61〜90分勉強する
0〜120分勉強する
121分以上勉強する3
1
112
5
214
21
238 勉強についてはおもしろくなってきた
どちらでもない
あまりおもしろくない
48
24
28
65
27
18
75
17
8