教育福島0043号(1979年(S54)08月)-040page

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●図書館コーナー●

 

本県の公共図書館(2)−会津若松市立会津図書館−

館長 大内明

 

といわれるけれども、社会教育施設としては若干不便な位置であるともいえる。

 

会津図書館は市の中心部から約一キ口東南の城東町にある。近くに鶴ヶ城を望み、文化福祉センター、総合運動場に隣接している。来館のかたがたに閑静な所で良いですね≠ニいわれるけれども、社会教育施設としては若干不便な位置であるともいえる。

現施設が落成したのはちょうど十年前、昭和四十四年であるが、当館の歴史は明治三十七年までさかのぼる。会津の土地がらがそうさせたともいえるが、そのこと自体一つの特色でもある。

本館の施設概要は次のとおりである。

こどものへや≠ヘ三十六席のほかに幼児コーナー十五平方メートルがあって、約一万二千冊が開架されており日曜にはボランティアの「おはなしの会」のお母さんたちが読みきかせを行っている。昨年度の貸出冊数は四万六千冊、登録者は千七百九十一人となっている。

二階の閲覧室は、一般三十六席、高校生百席で、約二万五千冊が開架してある。ご多聞にもれず試験シーズンや夏休みを中心に高校生で満員になるが昨年の館外貸出者は一般一万一千八百二十五人、高校生二千五百六十五人で合計の貸出冊数が四万百四十二冊であるから、利用状況は簡単にご推察いただけることと思う。

一階二階の利用で最近目だつことに親子づれの来館者がある。このことは図書館が暮らしの中に定着してきたことのあかしであり、職員一同の喜びでもある。

図書館網の整備が図書館活動の今日的な命題であることから、当館では、昭和三十七年から自動車文庫あいづね≠ェ市街地周辺、農村部を中心に、七十九駐車場を巡回している。あいづね≠フ由来は万葉集の古歌にちなむもので、現在二代目の車輌が毎日市内をまわり、三万冊余の貸し出しを行っている。

団体貸し出しについては、読書会・サークルなどいくつかの団体貸し出しがあるが、昨年度から始めた地域文庫活動がある。これは当館から二、三キ口離れた地域のお母さんたちが中心となって、児童会館などの施設を利用した子供のための文庫活動で、当館から約五百冊前後の図書を貸し出し、県立図書館の親子読書文庫とタイアップして毎週土曜日に活動を行っている。こうした活動が現在、金川町、一箕町の二か所、さらに一か所開設準備中である。

例として、一箕町の活動状況をみてみると、登録児童三百三十名余で、一周年を迎える現在で貸し出し冊数は六千五百七十三冊となっている。また同地区にある一箕公民館分館は、小学校と隣接していることから児童中心の図書貸し出しも行っているが、ここの登録児童が約三百六十名余、本館こどものへや≠フ登録者が九十三名であるので合計八百名であることを考えると「子供は身近に本があれば読む」の実証であり、今後の活動の指針を示唆するものである。

こうした奉仕活動のほかに当館のもう一つの側面は郷土資料を中心とした資料の充実、レファレンス・ワークの強化にある。藩政以来の郷土資料は八千点近い図書・文書のほかに、民間所有のものを一般の利用に供し得るようマイクロ化し、保存している。

昭和四十七年マイクロカメラ一台、リーダープリンター、リーダー各一台を導入、研究調査のために供している。

フィルム・プリントは、昭和五十年に開始したコピーサービスとともに好評のようである。ちなみにこれらの活動の指標となる図書費については昭和五十四年度千九十万円で、市民一人当たり九十七円となった。現在の蔵書数は約十二万冊である。

活動を支える職員は、館長以下管理係五名、資料係八名であり、そのうち有資格者は七名であるが、開館時間は火曜から日曜まで九時から五時の間。月曜休館という変則勤務の中で市民のための図書館を目指し努力している。

 

施設の概要

敷地 2,638m2

地階(機械室) 107m2

1階(児童室・事務室) 531m2

2階(閲覧室) 397m2

3階(会議室・マイクロ室・その他) 397m2

屋上 397m2

書庫 542m2

 

 

 


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