教育福島0044号(1979年(S54)09月)-006page

[検索] [目次] [PDF] [前] [次]

はじめに

 

はじめに

 

新しい教育の方向

 

現在、わが国の学校教育は、明治以来第三の教育改革が進められているといわれている。技術革新による産業の発達や経済の高度成長によって、社会情勢の進展が国民生活に与えた影響は著しく、その中で人間のあり方や考え方を改めて見直すことの必要性が指摘されてきた。現代社会の急激な変貌は価値や規範の多様化により、みずからの心を閉ざして非社会的世界に逃避したり、あるいは反社会的行動に走ったりする青少年を生むなど、現代の社会状況は青少年の教育にとって決して望ましいものとはいえない。

このような社会情勢の中で学校教育は、問題解決のための一つの局面を迎え、新たな教育観に立って将来を構想し、方向を確立してゆくべき課題が課せられたのである。

この課題への取り組みは、すでに昭和四十六年の中央教育審議会の答申に見られる。その答申では、新しい学校教育の役割や学校体系を見直し、精選された教育内容をもって、子供の個性能力に応じた教育を行うことの重要性を強調し、新しい教育の展開の必要性を示唆した。

その後、国は、教育改革の一つとして教育課程の基準の改善に着手し、その諮問機関である教育課程審議会は、次のような三つの柱を立てて、今後の学校教育の新しい方向を打ち出した。

1 人間性豊かな児童生徒を育成すること。

2 ゆとりのあるしかも充実した学校生活が送れるようにすること。

3 国民として必要とされる基礎的基本的な内容を重視するとともに児童生徒の個性や能力に応じた教育が行われるようにすること。

この答申における基本的な態度は、今後の学校教育に大きな示唆を与えるものとしてきわめて重要な意味を持つものである。

また、次に掲げる学習指導要領改訂の基本方針の中からも、今後の教育のあり方や新しい方向を知ることができる。

1 道徳教育や体育をいっそう重視し、知・徳・体の調和のとれた人間性豊かな児童生徒を育成する。

2 各教科の基礎的、基本的事項を確実に身につけられるよう教育内容を精選し、創造的な能力の育成を図る。

3 各教科の授業時数を削減し、地域や学校の実態に即してその運用にくふうを加えることができるようにする。

4 学習指導要領に示す各教科の目標、内容をできるだけ中核的なものにし、教師の自発的な創意くふうを加えた学習指導がじゅうぶん展開できるようにする。

今後は、この改訂の趣旨を生かして

 

 

 


[検索] [目次] [PDF] [前] [次]

掲載情報の著作権は情報提供者及び福島県教育委員会に帰属します。