教育福島0044号(1979年(S54)09月)-007page

[検索] [目次] [PDF] [前] [次]

教育課程を編成することが、学校の当面の課題である。特に学校や地域の実態に即し、学校の創意くふうを生かして教育課程を編成することは、今後の学校教育を推進するに当たってきわめて重要なポイントになるであろう。

これからの学校教育は、ゆとりと充実という方向をめざし、教師の創意とくふうを生かして充実した教育活動を行い、一人一人の個性、能力の伸張を図り、真に人間性豊かな児童生徒を育成することが大きな課題である。

このために学校は、教育改革の動向をしっかり見定め、自校の問題点をはっきりととらえて、その解決に向かっての努力を怠ってはならない。特に豊かな人間性の育成については、教育課程審議会の答申における七つの項目(八ぺージ参照)を参考にして、自校で最も欠ける点はなんであるかを洗い出し、その解決のための諸方策を立てていくことが必要である。

このような基本的な考え方に立って各学校は、人間性豊かな児童生徒の育成を図るため、学校や地域の実態に即して学校の教育目標を立て、その達成をめざして計画的に有効適切な教育活動を実施することになる。しかしそれは、単なる知識の伝授や技能の習得をめざしたものではなく、全人的な人間形成の過程におけるさまざまな生活体験を通しての具体的、実践的な活動であることが望ましい。

次に、これからの学校教育を推進していくに当たって、教育に携わる者として特に考えなければならない重要な問題をいくつか挙げてみる。

 

一、本県教育の課題

 

本県における学校教育の推進に当たっても、教育課程改善の基本的な考え方に即して、来るべき未来に生きる知・徳・体の調和のとれた真に人間としてのすぐれた価値を持つ児童生徒の育成に当たっていくよう心がけているところである。

県教育委員会は、この豊かな人間性の育成をめざした教育の理念に呼応して、昭和五十三年三月に、「第二次福島県長期総合教育計画」及び当該計画を具体的に進めるために、「第一期実施計画」(五十三年度〜五十五年度一を策定した。

この「第二次長期総合教育計画」は本県における教育、文化の現状と問題点を明らかにし、今後における文教行政の施策を打ち出したものであるが、その中で、当面の短期的課題として第一期実施計画を策定したものである。

それに基づき、従来の計画を新たに見直して立てられた昭和五十四年度県教育委員会の重点施策は、次のとおりである。

県教育委員会は、社会の急速な進展と県民意識の変化に対応し、

○ 豊かな教養と正しい判断力を持つ人間の育成

○ 個人の価値を尊ぶ人間の育成

○ 健康な人間の育成の理念に立つ“未来をひらく、県民のための生がい教育”の実現を図るために次のような重点施策を掲げた。

1 県民の信頼と期待にこたえる学校教育の推進

2 義務制施行に即応する養護教育の推進

3 あすをになう青少年の健全育成の推進

4 すべての県民が自ら学習する社会教育の推進

5 健康と体力づくりを図る社会体育の推進

6 豊かな心を育てる県民文化の推進

さらに以上の重点施策を具体化した諸施策を掲げ、それぞれの事業の推進を図っているのであるが、なかでも学校教育にあっては、教育の機会拡充、教育活動の質的充実、教職員の確保と指導力の向上、教育施設・設備の整備充実に力を注いでいる。

いずれの施策も当面の課題として重要なものであるが、特に小・中学校教育に関係の深いものは、教育活動の質的充実と教職員の指導力の向上である。

教育活動の質的充実を図るために重要なことは、その基幹となる教育課程を適正なものにし、学校の諸指導計画を充実させることである。そのために各地区ごとに教育課程講習会を実施し、その趣旨の徹底に努めているところであるが、各学校では、その趣旨を生かした教育課程の編成と実施によって、教育活動の質をさらに充実させてゆくことが望まれる。

また、現代の社会状況の中でつねに問題を投げかけられている生徒指導の問題、学力向上、学習指導の充実の問題、あるいは児童生徒の体力、運動能力向上の問題等、各学校が取り組まなければならない課題は多い。

さらに、県民の期待と信頼にこたえる教育を推進していくためには、学校教育に携わる教職員の指導力の向上を図ることが重要な課題となる。教育課程改善の趣旨も一人一人の教職員の正しい理解と実践によって生かされるものであり、これを生かす教職員の創意くふうが強く望まれるのである。

この教職員の創意くふうこそ、学校における教育活動の質的充実を図るために、なくてはならぬものであり、これによって新しい教育課程が児童生徒にとってほんとうに生きたものになるかどうかの分かれになるものである。

したがって、教職に携わるものは、改めてこの重要性を自覚し、つねにその資質の向上に努めなければならない。そのために必要なことは教職員としての絶えざる研修である。

各学校にあっては、一人一人の教職員の資質の向上を図るため、現職教育の体制を確立し、真に豊かな人間性の育成をめざす教育の実現に努めることが肝要である。

 

 

 


[検索] [目次] [PDF] [前] [次]

掲載情報の著作権は情報提供者及び福島県教育委員会に帰属します。