教育福島0044号(1979年(S54)09月)-010page
あるすべての教師に課せられた命題といえよう。
三、学級経営
(一) 学級目標と学級経営
学級は、学校という経営体の一単位であり、学級経営は、学校教育の目標を実現する重要な役割を持ち学校、学年における直接的な機能を果たす領域として、最も重要な位置を占めるものである。
また、学級経営は、その学級だけが孤立して行われるものでなく、学年や他の学級と密接な関連を持って経営されなければならない。
そのためには、学校の教育目標との関連をじゅうぶんに図り、児童生徒の心身の発達段階と、その学級の児童生徒の実態とをからみ合わせた学級目標を設定しなければならない。
すなわち、この学級目標の設定に当たっては、学校の教育目標や学年目標を分析し、学級の実態を的確にとらえ設定すべきである。
学級経営者は、自分の受け持った児童生徒が、学級の目標を達成するために、学級経営方針を設定することである。どのような方針で、この一年間、受け持った児童生徒を学級の目標に到達させるかを、しっかり決定して、一貫した経営にあたる必要がある。
学級経営の目標、方針が設定されれば、次にたいせつなことは、経営のあり方として、人的管理、物的管理、並びに運営管理の三本の柱をつねに念頭におくことである。人的管理については、児童生徒に対するあらゆる教育活動に関することである。物的管理については、環境の整備に関することである。教室内の設備等の物的条件の整備、特に各教科、道徳、特別活動の学習の動機づけや、学習意欲の喚起のための、物的条件の整備に担任として創意くふうが望まれる。最後の運営管理については、学級の組織が、計画にしたがって円滑に運営されているかを、観察し、適切な指導がつねになされることである。
以上のように、学級経営者、すなわち、学級担任は、学級目標を一人一人の児童生徒に達成させるため、経営能力を、日常の教育実践を通してみがいていく必要がある。そのための配慮として、毎日の学級経営において、人的な面、物的な面、そして運営面の調和のとれた、指導や管理にあたる能力、態度の養成こそ肝要である。
(二) 学校経営における組織と機能
学級が一つの共同体として、学級の目標をめざして、生活させるためには、組織をつくり、役割の分担を明確にする必要がある。そして、学級内の連絡調整、協力により一人一人の児童生徒の全人格の形成(学級目標の達成)を図る指導、援助ができる。
1 学級組織
学級の組織としては、児童会、生徒会の組織との関連を図った役割分担があり、また、学級集団や生活集団などを中心としたいろいろな組織が考えられる。その中で各係活動は一人一人の個性伸長という観点から、また、学級経営を効果的に進めるうえで、たいせつな部面を占めるものである。
係活動が仲間意識を育て、協力に満ちた望ましい学級作りの土台とも考えられる。
2 組織作りの視点
1) みんなのための組織という集団意識に支えられたものであること。
2) 学校、学年、学級として、問題解決の必要感にせまられた組織であること。
3) 学級集団の一員として、各自の役割が明確に意識された組織であること。
3 小学校の組織作りの留意点
1) 発達に応じて、組織や仕事の内容を漸次質の高いものに育てていく。
2) 児童の発想を尊重するとともに学級の実態に即した係を作る。
3) 必要感と興味に立脚したものであり、仕事の内容が明確なものであること。
4) 児童一人一人の意見や問題が組織面に適切に反映するように考える。
4 中学校の組織作りの留意点
1) 動機づけをじゅうぶんに行い、生徒が自主的に組織を作成するようにする。
2) 生徒の能力、適性に応ずるよう要を得た組織にし、いたずらに複雑化しない。
3) 全校的な視野に立って組織を考える。
4) 係グループと、生活グループの連携を考慮する。
5 特殊学級の組織作りの留意点
1) 具体的で身近な実践活動を伴うものにする。
2) 活動内容が、ステップを追って単純に組分けでき、児童生徒みずから仕事の確めが容易にできるものにする。
3) 毎日一定の作業量を有し、その活動が実施されなければ学級の運営に支障があるようなもの。
4) 一人当番と係活動を考慮したもの。
以上のような視点と、留意点を配慮して、その学級の実態にあった組織づくりをすべきである。
しかし、問題はこのように作られた組織が、目的、計画に基づき一人一人の児童生徒が活動しているかという点である。