教育福島0044号(1979年(S54)09月)-011page
自主性、主体性、そして自治的な能力、態度の育成は、学級経営者の経営手腕にかかっている。組織の活動が、円滑にいってない場合には、速やかに治療、矯正などの指導の手を加え、教育相談や、グループ、カウンセリングを通して、望ましい人間関係をきづき、係活動の阻害する要因を除去してやらねばならない。
(三) 児童生徒の理解と指導
指導活動は、児童生徒の的確な理解が基礎である。そのためには、児童生徒の客観的な調査、検査の資料の活用が必要になる。学級担任は、一人一人の児童生徒の身体、能力、適正、性格興味、関心、要求、技能、さらには交友関係、環境条件、悩みなどを的確には握して、はじめてきめ細かい指導をすることができる。
1 個性は握と指導上の留意点
1) 個性のは握に当たっては、特に成長過程における環境的要因に着目すること。
2) 固定的、断定的にとらえることなく、未来の可能性を内包していることを忘れないようにすること。
3) 自分の特徴や長所を知り、それを伸ばそうとする意欲を持たせること。
2 集団内における人間関係のは握
1) 学級担任、教科担任、クラブ担任などの各教師が、行動観察の結果を持ちより、それらを通じて児童生徒の人間関係を分析する。
2) 友人の数や、親しい友人の氏名等を質問紙や面接法によっては握する。
3) 集団内の人間関係を相互評価させ、集団内部の構造を明らかにする。
3 家庭環境の調査
1) 児童生徒の親子関係、生育の過程等の家庭環境調査をする。
2) 家庭訪問や面接調査を行う。
3) 必要に応じて、標準化された各種の調査、検査を行う。
4 個人ごとの資料の収集
1) 生活行動観察指導記録カードにそのつど記録をして、その全人格のは握により近づこうと努力する情熱が必要である。
2)学習状況観察カードに、教科担任が記録し、その教科に対する、児童生徒の実態をは握し、学業指導に役立てるとともに、全人格のは握につとめる資料とする。
5 児童生徒を指導するときの教師の基本的な態度
1) ともに人間の生き方を考えていく真剣な態度で指導に当たる。
2) 児童生徒一人一人の人格を尊重して指導にあたる。
3) 共感的な態度と愛情をもって指導にあたる。特に、できる限り自分の力で問題を解決できるように援助してやることがたいせつである。
(四) 学級経営誌の記録と活用
学級経営誌は、学級の教育実践をより目的的にしかも効果的に進めるために立てられた経営計画とさらに、それを着実に実践し、累加実践記録としての二つの役割をもっている。
したがって、学校経営者としては、学級の指導の効果をあげるための作成や活用が大事なことはいうまでもない。
学級経営誌の内容、形式については学校の実態に即して、学校の創意を生かしたものでなければならない。その様式は統一したものであり、全職員の共通理解が得られやすく、そのうえ、客観性に富んだものでありたい。
しかし、学級は生きて働くものであり、その望ましい変容を期待しての営みが経営であるから、その記録のし方については、それなりのくふうが必要である。
次に学級経営誌の活用のし方について述べる。
1 指導面の活用
1) 学習、生活の観察記録、累加記録、効果判定記録から、児童生徒の実態をは握し、個別、集団の特性に応じた指導ができるようにする。
2) 指導の結果の評価をより客観的に行うようにする。
3) 児童生徒の発達段階に応じて一貫した指導が継続できるようにする。
2 管理面の活用
1) 学校経営と一体化するための改善の資料として活用する。
2) 記録をとおして、今後の指導や管理上の問題点を明らかにしこれらを解決するために活用する。
四、新教育課程の編成・実施
(一) 教育課程編成の原則
前にも述べたように今回の教育課程