教育福島0044号(1979年(S54)09月)-012page
の基準の改善は、みずから考え正しく判断できる力を持つ児童生徒の育成ということを重視しながら次のようなねらいの達成を目指して行われたものである。
○人間性豊かな児童生徒を育てること。
○ゆとりのあるしかも充実した学校生活が送れるようにすること。
○国民として必要とされる基礎的、基本的な内容を重視するとともに、児童生徒の個性や能力に応じた教育が行われるようにすること。
各学校においては、これらのことを念頭におきながら、次の原則に従って編成する必要がある。
1 法令及び学習指導要領の示すところに従うこと
この「法令」とは、教育基本法、学校教育法、同法施行規則、地方教育行政の組織及び運営に関する法律等である。
学習指導要領は、学校教育法施行規則において「小学校(中学校)の教育課程については、この章に定めるもののほか、教育課程の基準として文部大臣が別に公示する小学校(中学校)学習指導要領によるものとする。」と示しているように、法令上の根拠に基づいて定められたものである。
2 地域や学校の実態を考慮すること
学習指導要領総則において、「学校においては……児童(生徒)の人間として調和のとれた育成を目指し、地域や学校の実態……を十分考慮して適切な教育課程を編成するもの」と示している。これは、各学校において教育課程を編成する場合、地域や学校の実態を的確には握し、児童生徒の調和のとれた発達を図るという観点から、それを学校の教育目標の設定、指導内容の組織及び授業時数の配当等にじゅうぶん反映させる必要があることを強調しているものである。
3 児童生徒の心身の発達段階と特性を考慮すること。
学習指導要領総則において、「学校においては、……児童(生徒)の人間として調和のとれた育成を目指し……児童(生徒)の心身の発達段階と特性を十分考慮して、適切な教育課程を編成するものとする。」と示している。
これは、各学校において教育課程を編成する場合には、児童生徒の調和のとれた発達を図るという観点から、児童生徒の心身の発達段階と特性をじゅうぶんは握して、これを教育課程の編成に反映することが必要であることを強調しているものである。
(二) 学校の創意くふう
今回の学習指導要領の改訂では、基準の大網化が図られている。この趣旨は、ゆとりある充実した学校生活を実現するために、各教科の内容を基礎的基本的な事項に精選し、児童生徒の学習負担の適正化を図る一方、学校や教師の創意くふうを加えた指導がじゅうぶん展開されることを期待しているものである。
1 学校の創意くふうの視点
学校が教育課程を編成、実施するに当たって特に配慮を要する創意くふうの視点としては、次の諸点が挙げられる。
1) 学校の教育目標
各学校は、教育基本法及び学校教育法に示されている教育の目的や目標を達成するために、各学校が持っている各種の条件を分析し検討した上で学校の教育課題を正しくとらえ、それに応じた適切な教育目標を設定する必要がある。学校の教育目標の設定やその実現のために特に配慮すべき点としては次のようなものが考えられる。
ア、学校の教育目標の設定に当たっては、事前の調査や研究の結果をじゅうぶん活用すること。
イ、学校の教育目標は、各学校が教育を進めるに当たっての強調点や留意点を明確に示すものである。
ウ、学校の教育目標を実際の指導に具現するよう計画すること。
エ、教職員、児童生徒及び保護者に学校の教育目標の理解の徹底を図ること。
2) 指導内容の組織化、計画化
学校が教育課程を編成するに当たっては、標準授業時数の範囲内で、地域や学校の実態、児童の心身の発達段階各教科等の内容の系統性・発展性などを考慮して、具体的な指導内容を選択し、組織し、計画化しなければならない。この場合、各学校が創意くふうを加えるべき点としては、いろいろな角度から考えられるが、今回の改訂では特に内容の精選が重要な課題となっているので、各学校が教材内容の精選や重点化を図る場合に配慮すべき点を次に挙げてみる。
ア、児童生徒の学習の実態をじゅうぶんは握すること。
イ、学習指導要領に示されている各教科の目標や内容の構成にじゅうぶん配慮すること。
ウ、教科書教材の取り扱いをくふうすること。
なお、このほか、特に今回の学習指導要領の改訂に伴い、指導内容の組織化、計画化に当たって配慮すべき点として、小学校低学年における合科的な指導と創意を生かした教育活動及び中学校における選択教科に関する課題がある。そのうち低学年における合科的な指導については、各教科の目標の達成や内容の習得をいっそう効果的にするため児童の具体的かつ総合的な活動を通して行うという観点から、各教科実践を試みられることが期待されている。
3) 授業時数の運用
今回の教育課程の基準の改善においては、各教科の内容の精選とともに標準授業時数の削減を行っている。これ