教育福島0044号(1979年(S54)09月)-013page
は、学習者である児童生徒自身が心身ともに安定した状況のもとで、より充実した学校生活が行われるようにすることを意図したものである。各学校では、この趣旨にそって地域や学校の実態に即して授業時数の運用に創意くふうを加える必要がある。その際、特に配慮すべき点としては、次のようなものが考えられる。
ア、各教科等の年間授業時数については、標準の範囲内で弾力的に考えること。
イ、各教科等の指導のための時間配当にくふうを加えること。
ウ、給食、休憩などの時間の設定にくふうを加えること。
4) 指導方法、指導組織
今回の改訂においては、精選された各教科の基礎的・基本的な内容を確実に身につけさせるために、一人一人の児童生徒の能力・適性に応じた行き届いた学習指導を進めることが期待されており、そのためには、それにふさわしい指導方法の改善を図ることが必要である。
この指導方法の改善については、教材・教具の改善や施設設備の整備、さらには指導組織の改善など様々な角度から検討されなければならないが、特に配慮したい点としては、次のようなものが考えられる。
ア、日々の学習指導の中で個別指導の機会をどのように確保していくか。
イ、学習指導の成果を常時評価していく手だてをいかに講じていくか。
ということがあげられる。今後、各学校においては、これらの課題解決のための努力が大いに期待されるところである。
2 創意を生かした教育活動の基本的な考え方
標準授業時数の削減は、在校時間は現在程度が適当であるという前提のもとに、学校生活全体にゆとりがもてるようにするとともに、学校の創意を生かした教育活動を行う時間がある程度確保できるようにするという観点から行われたものである。
人間性豊かな児童生徒の育成という今回の改訂の基本的なねらいの実現を図るための具体的な指標としては、創造的な知性と技能、強い意志力と自律的精神、・豊かな情操、正しい勤労観、社会連帯意識や奉仕の精神に基づく実践的社会性、健康でたくましい身体、家族愛、郷土愛、祖国愛、国際性などの育成やかん養が観点として挙げられている。これらのねらいは、各教科等の学習をいっそう充実したものとするとともに、創意を生かした教育活動の中で養われるものということができる。
したがって、学校が創意を生かした教育活動を計画する場合には、単に標準授業時数の削減によって生じた時間をどう運用するかという狭い視点からとらえるのではなく、各教科等の指導計画、週や一日の時程の編成などを含めて、常に全体としてのゆとりのある充実した学校生活を実現するということを念頭において総合的な視点から検討する必要がある。
(三) 各教科等の編成
1 各教科
1) 各教科の運営
従来はややもすると、各教科の指導が専問的内容についての知識の伝達に傾斜し、しかも取りあげる内容が多過ぎて、完全に消化できないという問題があった。
このような問題を解決するうえでも今回の改訂を機会に、各学校における教育過程の編成や指導計画の練り直しをはじめとして、学習指導方法の再検討にいたるまで改善を必要とする段階に至っているものと考えられる。
ここでは、特に教育課程編成に当たっての各教科の一般的な着眼点を次に挙げることにする。
ア、道徳及び特別活動との関連を図り調和のとれた指導計画を作成する。
イ、各教科の指導内容について、基礎的、基本的事項を明確にし、創造的能力の育成を図るよう指導計画を作成する。
ウ、児童生徒の発達段階や能力、適性を考慮するとともに、学習負担の適正化を図るなど、創意くふうに満ちた学習指導が展開できるよう指導計画を作成する。
2) 中学校における選択教科の運営
選択教科の履習方法については、中学校学習指導要領の総則に規定されているが、これ等をもとに要約すると次のようになる。
ア、第一学年、第二学年では、「外国語」及び「その他特に必要な教科」のうちから選択する。
イ、第三学年では、「音楽」「美術」「保健体育」「技術・家庭」「外国語」及び「その他特に必要な教科」のうちから選択する。
ウ、選択教科等に充てる標準授業時数は、第一、二学年が百五時間、第三学年が百四十時間となっている。
エ、選択教科の授業時数については音楽、美術、保健体育及び技術・家庭は、それぞれ第三学年において三十五を標準とする。外国語は各学年において百五を標準とし、その他特に必要な教科は、各学年において三十五を標準とする。
2 道徳教育
教育課程の編成に当たってまず道徳教育の意義、役割を正しくとらえることがたいせつである。これを、学習指導要領総則を基に要約すると次のようになる。
ア、学校における道徳教育は、学校の教育活動全体を通じて行うことを基本とするものであること。
イ、教育課程の全領域が、道徳教育