教育福島0044号(1979年(S54)09月)-015page
反面、学校の教育課程は、いったん作成されると、容易に変更されにくく固定化し易い面をもっている。
したがって、日常の教育活動においては、実施の結果をつとめて客観的に評価し、改善の必要性を全職員が共通的に持って取り組むことがたいせつである。
五、学習指導の改善
(一) 指導計画の作成
1 指導計画作成の意義
「指導計画」は学校で編成された教育課程を完全に実施するために、その内容を具体化し、指導活動が調和をもって、系統的、発展的に進められるようにするための教育計画である。
したがって、指導計画の作成にあたっては、学校教育法施行規則の規定をふまえながら、学校の実態、児童生徒の心身の発達段階と特性をじゅうぶん考慮することがたいせつである。また学校全体としての教育効果を期待するためにも、教科間、学年間の計画、さらには同一学年の教材についての順次性などにも留意することが必要であろり。
2 指導計画の種類
1) 教育課程と指導計画
教育課程とは学校の教育目標を達成するため、教育内容を児童生徒の心身の発達に応じ、授業時数との関連において総合的に組織した学校の教育計画である。教育課程も指導計画も教育の計画であるが、指導計画は教育計画をうけてその内容を具体化したものである。
指導計画は、期間、領域、機能から次のように分けることができる。
ア、期間から
年間指導計画、週指導計画 日案、時案(学習指導系)
イ、領域から
各教科指導計画、道徳指導計画、特別活動指導計画
ウ、機能から
全体計画、部門別・分野別計画
3 指導計画の作成
指導計画作成は学習指導要領の学年別目標や内容に基づき、地域や学校の実情、児童生徒の実態を考慮して作成される。年間指導計画が基本となり、月、週、日、時案等へ深められ具体化されることになる。
年間指導計画作成については自校の教育課程に基づいて作成されなければならないが、便宜上広域カリキュラムに補正を加えて自校案として使用している学校では、月、週、日案へ深めていく過程で、前述した事項を配慮しながら、全職員の参加のもとに作業をすすめる努力をすることが指導計画の改善に結びつくものとなる。
(二) 教材研究の進め方
1 教材研究とは
指導しようとする素材が
・どんな教育的価値があるのか。
・どんなしくみになっているのか。
・どんな関連を持っているのか。
などを明らかにし、それに総合的な考察を加え、さらに、実際の授業の過程を予想しながら、この教材はどのように学習させることが望ましいかについて研究することである。
2 教材研究の必要性
・目標を的確につかんで指導に当たるため。
・教材の系統をおさえ、内容を精選するため。
・「教えること」と「考えさせること」を明らかにし、授業を効率化するとともに、価値の高いものにするため。
・必要な資料を整備し、その活用を考えさせるため。
・他学年、他学科との関連を明らかにするため。
・児童生徒のレディネスをおさえるため。
3 教材研究の視点
・教材を成りたたせている事実や知識についての研究
・教材が含んでいるねらいや指導事項についての研究
・児童生徒に教材を即応させるための研究
・児童生徒の思考と教材のはたらきとの研究
4 教材研究の手順・方法
・教材のもつ教育的価値を明らかにする。 (目標分析)
・教材のしくみを明らかにする。 (構造分析)
・教材の関連を明らかにする。 (関連分析)
5 教材研究の評価
1) 教材研究評価の視点
・指導のねらいが明確で、教材の本質にせまった教材研究であったか。
・教材内容が構造的にとらえられ指導の重点が明らかであるか。
・指導過程に即しているか。
・資料が児童生徒の実態、学習のねらいに即し、精選されているか。
2) 授業を実施しての評価
・教材のねらいを児童生徒一人一人が主体的にとらえたか。
・教材のしくみが理解されたか。
・教材の重点を理解し、学習が定着していたか。
・多面的な教材研究であったか。
・思考を容易にさせるための資料が効果的に利用されたか。
教材研究は、素材があり、児童生徒があってその意義を有するものである。本来は個人の研究が主体となるが、共同研究などで、より科学的、客観的な研究も今後必要になってくるだろう。