教育福島0044号(1979年(S54)09月)-016page
(三)授業充実のための条件
1 よい授業とは
1) 目的的である
授業の目標が児童生徒にとっても明確におさえられ、教師や子どもの活動がそれによってコントロールされている。
2) 活動的である
発問・応答が活発に展開されるばかりでなく、じゅうぶんに考えて活動する生き生きした姿がみられる。
3) 学習内容が精選されている
易から難へと適切に配列され、解決の成功感を味わうことができる。
4) 内的報酬がある
児童生徒の心の中に「やってよかった」という実感と「よし、この次も」という気持が満ちている。
2 授業を充実させるための条件
1) 教科の本質に即して、的確に目標をとらえる。
教材のしくみを構造的にとらえ、児童生徒の実態に即し、目標を的確にとらえる必要がある。
2) 児童生徒のレディネスをとらえる
学習に適するだけの身体的、精神的な成熟の度合を的確にとらえなければならない。
3) 学習の課題を明確にとらえさせる
児童生徒が見通しをもって、効果的に学習するためにも、より具体的な学習課題を指示する必要がある。
4) 教材内容を明確にとらえる
指導要領の内容を明確には握するとともに教材を精選し内容の重点化を図る。さらに教材と学習活動との関連を図りながら構造的にとらえることがたいせつである。
5) 個別指導の徹底を図る
いっせい指導の形態をとりながらも指導過程の中に、個に応じた指導の場を位置づけるなどのくふうが必要となる。
6) 学習態度の育成
意欲をもって、しかも真剣に学習に取り組もうとする学習集団を醸成するとともに、学習のし方を身につけさせなければならない。
7) 効率の高い学習指導法をくふうする。
教師の特性を生かしながら協力的な指導がなされるとともに、教育機器等を有効に用いるなどのくふうが必要となる。
8) たしかめを適切にする
具体的な目標の一つ一つに照らして児童生徒の学習や行動の状況を観察・測定・調査することによって、目標がどのように実現されており、どこが達成され、どこに問題点があったか、それらの度合はどの程度あるか、その要因はどこにあるかを明らかにするものである。
その他、授業を充実させるためには多様な要件があるがたゆまぬ研修に期待するところが大きい。
四 評価と指導の改善
1 評価の意義と機能
教育における評価とは児童生徒の学習や教育計画など、教育に関する事象のもっている価値を教育の目的や要求にてらしてみることである。
1) 管理機能としての評価
・教育目標にてらして、設定した価値の水準に児童生徒がどれだけせまることができたかを評定したり比較、順序づけなどをしたりするものである。
・評価記録の計画的累積、通信せんの作成、指導要録への記入も含まれる。
2) 指導機能としての評価
最もたいせつな機能であり、指導の診断と指導計画や指導法の改善という二つの面から考えることができる。まず、
・ひずみのない効果的な指導をするために、
・興味や関心・欲求、レディネスとしての知識・態度・技能等を確実にとらえ、
・学習の進歩や遅帯の実態を明らかにし、
・その要因となるものをとらえて追指導することである。
一方
・指導計画をたてたり、計画を修正補充したり、
・効率的な指導過程や指導法を組織することになる。
3) 学習の機能としての評価
個人の学習の過程で、テストやその他の結果によって自分の学習をふり返り、つまづきや成功の要因がどこにあるかを明らかにし、その後の学習に役立てることができる。
2 評価の方法
1) 評定の対象
評価をたしかなものにするためには評価される対象の本質をじゅうぶんみきわめるごとがたいせつである。
2) 評価の場と機会
教育効果が具体的に表現されているのはどこかをみきわめ、評価の場と機会をくふうすることが必要である。