教育福島0044号(1979年(S54)09月)-021page
段階に即して適切な指導を行うとともに、教師と児童生徒、児童生徒相互の間に親愛の情や信頼感、協力の精神等を育てることに特に留意することが必要である。
(四) 社会性・道徳性指導
生徒指導でねらう社会性・適応性の指導は、民主的な社会生活のための基礎となる社会的資質や態度・能力を身につけさせることである。具体的には児童生徒の所属する地域や家庭や学校学級等のよき成員として、その集団生活や社会生活を円滑に進めていけるような資質や態度・能力を育てることである。指導内容は、「社会人形成」の面から、望ましい人間関係の育成、公民性の育成、「個人形成」の面から、人生観、世界観の確立、望ましい習慣の形成があげられる。また、教育課程審議会の答申に「社会連帯意識や奉仕の精神に基づく実践的社会性を培うこと」とあり、そのためには、一つの目的に向かって仕事を分担し合う、目標達成のために、各人の能力やパートに応じて全体のために自分のもっている力を出しつくす等社会的連帯の基本になるものにをむけた指導を重視する必要がある。
(五)進路指導
進路指導は、生徒の個人資料、進路情報、啓発的経験及び相談を通じて、生徒がみずから将来の進路を選択、計画し、さらに、よりょく適応し、進歩するように教師が組織的、継続的に指導、援助する過程(中学校進路指導の手引)と定義づけている。このことから単なる就職、進学の指導に終わってならないことが理解できる。指導に当たっては次の点に配慮することがたいせつである。
1) 児童生徒みずからの生き方についての指導援助であることに特に留意する。
2) 個々の生徒の職業的発達を促進するよう配慮する。
3) 一人一人をよりょく理解し、その可能性の伸長を図れるようにする。
4) 入学当初から組織的、計画的、系統的に行うよう計画し実施する。
5)家族の理解と協力、関係機関との連携に努める。
(六) 保健指導
健康な生活を営むのに必要なことがらを体得させ、積極的に健康増進できる態度や習慣を養うことが保健指導の目的である。したがって、指導に当たっては健康で安全な生活を営むことに必要な基本的な事項を理解・体得させ、行動できる実践力・態度の育成に重点をおいて指導する必要がある。
1) 健康な生活設計の指導においては調和のとれた生活をおくることの理解と自分の生活目標や生活内容に適した健康な生活設計ができるようにする。
2) 事故から身を守る指導に当たっては、身近な生活の中で多く見られる事故災害、交通事故の現状や原因などを理解させ、事故防止に努める心構えと実践的態度の育成に努める。
3) 清潔な習慣育成の指導に当たっては、家庭との協力を得ながら、繰り返しの指導をとおして習慣化するよう指導する必要がある。
4) 性に対する指導は、学校教育における位置づけを明確にするとともに、人間形成をめざした指導の一貫として進めることがたいせつである。
十、現職教育
教師に研修が不可欠な要件であることはいうまでもないことであるが、今回の教育課程の基準の改善はこれまで以上に教師の研修の充実と指導力の向上を期待している。
答申2)「…今回の教育課程の基準の改善のねらいが達成できるようにするため、特に改善を要するところ」として上げた五項目の「2学校運営と学習の指導方法」で教師の指導力の向上を指摘し、さらに「3教員の養成と研修」において、教育課程の実施の効果は、それを実際に指導する教員の資質能力に負うところが極めて大きいので教員は研修の充実と指導力の向上に努めなければならないことを明確に述べている。また「教員の資質能力の向上について」の中央教育審議会の答申の中でも「国民の間には教員に対して広い教養、豊かな人間性、深い教育的愛情、教育者としての使命感、充実した指導力、児童生徒との心の触れ合いなどをいっそう求める声が強い」と指摘している。そこで、従来の研修のあり方を見直し、1その改善、充実を図るに当たって、研修の基本的事項について再認識することは極めてたいせつなことである。
(一) 研修の意義
研修とは「職務に必要な知識・技能・教養等を修得し、その資質の向上を図るための教育訓練」というのが一般の定義である。
教師がみずからの資質を高めるために行う研修には「研究」と「修養」という二つの側面がある。教育活動の実践場面では両面が相互補完的に関連し合いながら教師の資質能力を高めていくものであり、この両面をあわせて、「研修」というのが一般的である。
(二) 研修の内容と方法
研修の内容は、研修の主体や形態等によりいろいろな類型が考えられる。
A 1)教職教養としての研修
2)一般教養としての研修
B 1)教育目的や内容に関する研修
2) 教育方法に関する研修
C 1)教員養成の過程における研修
2)教職についてからの研修
研修の内容を重層的、構造的にとらえるとすれば、これらを貫いて統一する原理は、豊かな人間形成をめざす教育実現のための研修にあるといえよう。
研修の方法上の分類のし方にもいろいろな立場があり、多様な種類があげ