教育福島0044号(1979年(S54)09月)-023page

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授業研究は事前研究からはじまる。その内容には、およそ次のようなものが考えられる。

ア、教材研究

イ、児童生徒のレデネスのは握

ウ、授業研究の主題の設定

エ、授業仮説の設定

オ、授業案の作成

作成に当たっては、次の点に留意する。

・研究のねらいを明確にする。

・授業観察の視点を明確にする。

・作業仮説を具体的に位置づける。カ、授業観察や記録のしかた

3) 実証授業

授業研究における授業は、仮説の検証として行うものであるから次の点に特に留意する。

ア、授業案にできるだけ忠実に実施する。

イ、授業記録は、詳細かつ正確にとり、授業後できるだけ早い機会にまとめ

る。

授業記録から、研究主題や仮説と関係のある部分について分析的に検討し事実に基づき解彩することになるが、一般化を図るに当たっては、単に一回の授業のみで結論づけることは早計であり、いくつかの実証授業をとおし結論を導き出す根拠となる資料を整え、共通的な成果をもって一般化を図るための法則性を見い出すことがたいせつである。

授業研究のまとめに当たっては一

ア、授業研究をとおして明確にすることができた結論

イ、その結論を基礎にして今後究明すべき問題点を明らかにしておく必要がある。

 

(六) 研修活動の当面の課題

 

新教育課程を主軸に学校教育を推進するに当たって、次のような課題があげられる。

1) 答申の趣旨に照らして、自校の教育目標を見直し、課題を明確にして、その実現化のための学校経営、学年、学級経営のあり方を究明する。

2) 新学習指導要領の目標、内容に照らして教科書教材を検討し、教材の精選や重点化及び教材の開発について検討する。

3) 体験的活動、個別指導、まとめと評価の指導計画上の位置づけと指導方法について研究する。

4) 校内における現職教育の内容、方法を改善し、校内研修に対する期待感を高める。

5) 小、中、高相互の授業参観や合同研究協議会を実施するなどして、小、中、高等学校教師の研究的交流を促進する。

 

おわりに

 

今後の課題

 

以上、学校教育を推進していくうえで重要だと思われることをいくつか述べてみた。しかし、今後、社会の進展に伴ってさらに検討を加えなければならない問題が生じることが予想される。今後どのようなことが問題となるかを的確に判断することはなかなか容易なことではないが、おおよそ、次のような観点からとらえることができよう。

 

1 現代の子供をとりまく社会状況

2 現代の子供の特徴

3 現代の学校の状況

この中で特に問題になるのは、現代社会の子供に及ぼす影響である。特に子供の内面に与える社会の影響は大きいといえる。

現代の子供の特徴をいくつか拾いあげてみると、

○育ちがよくおうようである。

○体位が向上し、スマートである。

○豊富で早熟な知識をもっている。その反面

○粘りがなく、ひ弱であり、困難に立ち向かう気力が乏しい。

○知識偏重で経験が乏しい。

○人まかせで自主性が欠け、自己鍛練の精神が乏しい。

このように現代の子供は、人間形成における内面の弱さが指摘されている。

この子供たちを教育する学校の一般的な状況といえば、知識偏重、点数中心主義、学校の予備校化、塾や課外への依存、生徒の真の交友の不在等、憂慮すべき問題があげられる。

以上のような観点に立って、今後の学校教育の課題を考えてみると、おおよそ次のような点が考えられる。

1 ゆとりある充実した学校生活

2 知・徳・体の調和のとれた教育

3 みずから考え、行動する個性、能力、連帯の重視

4 教師の教育愛と創意くふうを生かした教育

5 新しい国際社会に生きる日本人の育成

このような考え方に立って学校教育を見直したとき、学校はさらに信念をもって真の人間教育を主体的におし進めていかなければならないことを反省しなければならないだろう。

そしてこの新しい教育は、学校の適正な教育活動の推進によって実現を図っていくものであるが、それは決して学校だけの独壇場でなく、家庭や地域をあげて進めていかなければならないことはいうまでもない。むしろ、これからの学校教育は、社会に大きく目を開き、地域社会の要求にこたえ、地域の課題の解決に向かって立ち上がっていかなければならないだろう。

そのために教師はつねに研修に励み新しい時代の教育を推進する資質と能力を備えなければならない。これこそが古くてつねに新しい学校教育の課題といえよう。

 

 

 


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