教育福島0044号(1979年(S54)09月)-041page

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児童生徒の就労

 

知っておきたい

 

教育法令

 

一、はじめに

 

新聞配達、長期休業中等における各種のアルバイトは、児童生徒の就労の問題である。実生活の中で、勤労を体験するという意味で教育的にも重要な意義がある。しかし、児童生徒は修学中であり、心身ともに未発達の段階にあるところがら、その就労に関しては法律上多くの規制がなされている。そこで労働基準法上における児童生徒の就労に関する規定について述べてみたい。

 

二、労働基準法における児童生徒の就労に関する規定

 

1 十五歳に満たない児童

(1) 十五歳に満たない児童は、原則として労働者として使用できない。ただし、労働基準監督署長の許可を受けて非工業的業種については(労基法第八条六号〜十七号の事業をいう。)、十二歳以上の児童を修学時間外に使用することができる。

(2) 児童使用について労働基準監督署長の許可を受ける際は、当該児童の修学に差し支えない旨の学校長の証明書、親権者の同意書が必要である。なお、校長が証明するにあたっては、児童の修学状況、健康状態、家庭環境等についてじゅうぶんな配慮が必要である。

(3) 修学時間を通算して一日七時間、一週間について四十二時間を超えて使用できない。

(4) 原則として、午後八時から午前五時までの間において使用できない。

2、十五歳以上十八歳未満の者

この年齢層は、中学校を卒業して就職している者、定時制高校に在学している者が含まれている。しかし、この年齢層の者も心身の成長過程にあり特に保護を必要とするという見地から、労働基準法は年少者(十八歳に満たない者一の就労について次の規制を定めている。

(1) 原則として一日八時間、一週間について四十八時間をこえて使用できない。また、時間外労働をさせることができない。

(2) 一週一日の休日を与える。休日に労働させることはできない。

(3) 交替制を除いて午後十時から午前五時までの間労働させることを禁止している。

 

(4) 危険有害業務等に就労することはできない。例えば、危険な機械や装置を扱う業務、重量物を扱う業務、毒劇薬(物一その他有害な物質又は爆発性、引火性の物質を取扱う業務、安全、衛生又は福祉に有害な場所における業務等への年少者の就労及び抗内での就労も禁止されている。酒席に接する業務、特殊の遊興的接客業務の就労も禁止される。(女子年少者労働基準規則)。

 

三、具体的事例

 

1、新聞配達少年

昭和三十八年四月二十二日文部省初中局長通達に示された新聞配達少年に関する指導要綱には、

(1) 十二歳未満の小学生児童を就労せしめないこと。(2) 午前五時前には就労させないこと。(3) 修学時間を含めて七時間以内の労働時間とすること。(4) 週休制を確保すること。(5) 集金及び拡張業務に従事させないこと。の五項目が示されている。前記二で述べた労働基準法の趣旨を確保する内容である。

2、中学生のゴルフ場のキャディについては、昭和三十五年七月二十五日付労働省労働基準局長通達では、キャディの業務は児童の健康及び福祉に有害でなく、娯楽場における業務に該当しないとされ、使用者は監督官庁の許可を得て中学生をキャディとして使用できる。しかし、重量物制限の観点からクラブバックは二個以上運搬させないとか安全の保持等の指導がなされている。

3、高校生の場合は、ウェトレスとして深夜業に従事するとか、男子生徒の場合土木建設業等危険有害な業務に就労する場合は、労働基準法に違反しているケースであり、社会的に問題とされることが多い。

以上法律的な解説をしてきたが、在学している年少者は修学途上にあることから、学校にあっては、児童生徒の就労に関する法令の理解はもちろん、教育的立場からの指導方針を明確にし父兄の理解を得ることも必要であると考えられる。

 

 

 


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