教育福島0044号(1979年(S54)09月)-044page
福島の文化財
重要文化財
絹本著色阿弥陀三尊像
◆中尊偉部分
所在地 いわき市平山崎矢ノ目
所有者 如来寺
掛軸の長さ三百十八センチメートル幅百六十ニセンチメートルの大幅である。中尊の阿弥陀如来は身長百七十一センチメートル。頭部には円光と八方に放射する直光線が描かれ、両足は蓮台をふみ、上品下生の来迎印を結び、斜前方を向いて立っている。両脇侍はやや中腰で、観音菩薩は蓮台を捧げ、勢至菩薩は合掌する構図をとっている。
この種の来迎図は鎌倉時代流行のものであるが、図取りが大きく、構図・形体・筆力・色調などにすぐれた技巧を示し、表情も気品がある。来迎図中異例の大幅で金色に光る姿は堂々たる風格がある。
製作年代は鎌倉時代の中・後期と推定され、保存も良い。この期の作品としては傑出した優品といえる。
福島の文化財