教育福島0045号(1979年(S54)10月)-011page

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特集 学習指導の展開

 

製作したり、改良したりして、自主的に学習活動に参加できるよう配慮している。小学部の体育は、運動能力別のグループ編成をしている。そして、能力に応じた基礎的運動能力を高めている。

肢体不自由児なので、療育園・寄宿舎、家庭と連絡をとり、健康状態や事故の防止に、特に注意している。

4) 感覚指導

重複障害児ほど、知覚−運動レベルでの問題が多い。運動の協応、形、位置、空間関係など、知覚の異常は、学習レディネス技能の障害をもたらしている。このような子供に対する指導は授業の中ではもちろんのこと、特に、養護・訓練の指導が、各教科学習に生かされるよう配慮している。特に、上肢障害は、技能教科の学習に障害があるので、訓練と関連づけ、教科学習の中で感覚技能の向上改善を図っている。

機能障害の重度の子供は、残存機能の向上に対する指導、自作教具や自助具の開発につとめ、自主的に学習活動に参加できるように配慮している。

 

(三) 病弱教育

県立須賀川養護学校

 

病院での診察によって、治療の必要のある子供が、入院即入学(転入学)をして、それぞれの学年において、児童生徒の実態に応じた学習を受けることになるが、病気の治療と合わせて学習をすすめる上での主な配慮点について、次のようなことが考えられる。

(1) 入院、入学当初における取り扱い

入院した子供については、医療面および家庭や前在籍校からの指導のための資料を収集し、学校全体で、指導方針を検討し、学級担任の指導にゆだねることにしている。

特に、家庭における過保護や病気のための学校ぎらいなどのために、入院生活になじめず、情緒面、行動面に問題が多い。そのため、入院、入学当初の指導は、生活への適応を中心としてすすめられている。

(2) 医療との連携による学習活動

医学的諸検査が済んだ段階で安静度がつけられる。(下表参照)この表に基づく取扱いを原則として、学習が展開される。三・五度までの者は、病院内学習(床上)となり、学習時間も制限を受けることになるが、四領域の調和を図りながら、特定教科偏重に流れないよう配慮するとともに、指導内容の重点化、教材の精選に努め指導している。

四度以上は、教室への通学が許され学級の学習活動に参加することができるようになる。しかし、安静度に応じて運動の制限や、清掃の免除等の配慮をしている。また、学習指導においても可能な限り直接経験を得させるため校外学習を多く取り入れているが、運動制限を考慮して、都市交通機関を利用したり、また、腎炎やネフローゼの子供に対しては、気温の変化にも留意してすすめられている。このように、安静度を基本に、学習の展開を図ることは、重要であるが、病気によっては常日頃の教師の観察をじゅうぶんに行い、医師との連携を図るようにしている。

 

安静度と授業との関係

※必要な場合は個人に対し特例事項を付記する。 width="625" height="213">

※必要な場合は個人に対し特例事項を付記する。

※ 中3年生で複習をうける生徒は帰棟時刻のみ7度に同じ。

 

(3) 経験不足を補うための指導

病弱児は、生活空間が制限され、そのために、具体的な生活経験が乏しいといわれている。直接経験の無理な学習については、視聴覚教材等の活用により、直接経験に代わる代理的ないしは、間接的経験による知識の習得を図るよう配慮している。

(4) 学校行事を行う上での配慮

運動会、修学旅行、宿泊訓練などは事前に、医師の診断をあおぎ、参加を決定する。特に、宿泊を伴う場合は、保護者の承諾を得た上で、医師、看護婦の参加により実施している。

また、病気の種類や運動制限に応じて、グループ編成を行い、全職員が、一人一人の取り扱いについて、共通理解を図り、それぞれの場面で、適切な指導助言ができるようにしている。

(5) 学習の遅れや、いろいろな障害を持つ児童生徒に対する配慮

学年相応の学力を身につけた子供とともに、学習の遅れ、精神発達の遅滞さらには、情緒面に問題のある者など極めて多様である。これらの児童生徒の学習指導を一口で述べることは困難であるが、基本的学習のあり方として「言語指導」に主眼をおいている。「ひとことばなし」、「生活日記」、「三分間スピーチ」、「十分間読書」など一人一人の能力や興味に応じた指導を行っている。

 

 

 


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