教育福島0045号(1979年(S54)10月)-019page

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特集 学習指導の展開

 

料を用いて思考を助ける指導を重ねたところ、生徒は非常に興味を示し、内容の定着度が特に高まつた。(図参照…図はTP資料の中から抜粋)

2) 酸、塩基の強弱

(A) 主要元素の原子価

代表的な酸、塩基の水溶液を指示薬(フェノールフタレイン、メチルオレンジ)の呈色状態を観察させることから酸、塩基を構成する主要元素(H、O以外の元素)の原子価が強弱を支配する要因であることを中心に指導した。

(B) 主要元素の原子量

NAOHとKOH、HNO3とH3PO4の液性を調べさせ、主要元素の原子量も酸、塩基の強弱を支配する要因であることに注目させ指導した。

 

「歌」で記憶させる周期表

〔元素の周期表〕(主要部分)

〔周期律ソング〕(アルプス一万尺の調子で

 

〔周期律ソング〕(アルプス一万尺の調子で

化学式を理解させるためのTP資料(抜粋)

 

化学式を理解させるためのTP資料(抜粋)

※毎時間このようなTPシートを数枚準備する。

※毎時間このようなTPシートを数枚準備する。

 

五、生徒の反応

 

このような授業をとおして、生徒の反応を見た結果は、次のとおりである。

 

(一) 周期表を歌で簡単に記憶でき、うれしかった。愉快な授業だった。

(二) 化学式、化学反応式が周期表を活用すると誘導できるので驚いた。反応式をつくることに興味を覚えた。周期表とは便利なものだ。

(三) 化学式から物質の性質が予測できるとは思わなかった。

(四) 実験前に予想をたてることに、興味を覚えた。実験の意味がわかるようになった。

(五) OHPで何が投影されるのか、毎時間の授業が楽しみになってきた。

 

六、おわりに

 

学習内容の定着を図るために、本校理科担当者全員で特にOHPの授業導入に着手したのは、昭和五十二年度であった。したがって授業改善の研究はまだその緒についたばかりといえる。授業構造分析、評価の問題等、今後研究すべき課題はまだたくさんある。生徒の学習意欲の喚起と口でいうのは簡単であるが、実際の指導となると種々困難な問題もあると思う。しかし、生徒にやる気を起させる方法はあると私は思う。ロマンと展望をもった授業研究を、今後も一つ一つ積み重ねていきたい。

生徒一人一人の学習の成立を図るためには、理科教材内容のじゅうぶんな分析と、生徒の能力の実態との関連を考慮することにより、より適切な教材を提示する必要がある。

また、これに加えて、より望ましい指導法を求めていく努力が要求される(

個に応じた学習の素材の提示と、それとあいまって、形成的評価を行うことが指導方法を検討する上で、きわめて重要なことである。

理科における形成的評価は、実験、観察を重視する立場から見て、特に要求される。そのためには指導内容の焦点化をじゅうぶんに行いその時間における到達目標(生徒にとっては、授業の初めにおける問題は握)をおさえ、授業の流れの中で、生徒のこれに対する定着の状況を評価し、そのたび適切な補完的指導を徹底する必要がある。

授業の実践と形成的評価の累積により、授業に新鮮さを与えると同時に、生徒の学習意欲の高揚に大いに役立つものと考える。

これを機会に、望ましい理科教育のありかたについて、あらためて検討されることを期待したい。

 

 

 


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