教育福島0045号(1979年(S54)10月)-020page
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特集
保健体育
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喜びのある軟式庭球授業の展開
相馬女子高等学校教諭
菊地 清人
「喜びのある授業」とは、生徒側にすれば、自主的活動であり、教師側は生徒の自主的活動が実現できるような指導法及び学習内容の創意くふうに意を傾注することである。
いわゆる、生徒と教師が一体となったときに、喜びのある授業が展開されるものと思う。本校において実施している軟式庭球の指導について大綱を述べてみる。
一、実態のは握(学習の出発点は異なっている)
レディネスのペーパーテストの結果、次の三項目が選択の理由になっている。
(一) テニスなら楽しくできるが、それ以外は関心がうすい。
(二) テニスの経験が少々ある。
(三) 現在テニス部員である。
このことから、初めてラケットを握る者から、対外試合で優秀な成績を残した技量を持っている者等多様な生徒の集団であることがは握できる。
したがって、実技のテストでは、多様化をいっそう裏づける結果となってしまう。
新しい単元については、どの程度の生活経験や学習経験を積んでいるか、興味、関心および技能等はどうかを知るためのレディネスをは握するテストの重要性を再認識するとともに、指導の過程、方法をどのようにしたら最も効果的であるかをある程度予測するためにも実施している。
二、意識の高揚(授業、教材、グループ等は生徒のもの)
「わたしの授業」「わたしの教材」「わたしのグループ」という意識は、生徒の自主的活動の基盤となる。
教師の授業・教材・グループ編成を次のような内容で生徒に説明し、自主的活動への意識高揚を図ってみた。
(一) 「この授業を、みんなが熱中して楽しめ、喜びにあふれたゲームが展開できる学習内容にしよう。その主人公はみなさんです。」=授業
(二) 「この軟式庭球は、みんなが行う種目で、みなさん個人のものであり、グループのものです。グループでこの軟式庭球をたいせつにしよう。」=教材
(三) 「この単元の期間中は、このグループで活動します。このグループは、あなたたちのものです。あなたたちのクラブです。自分たちの目標を立て、役割を決め、きまりをつくって、みんなの力を合せて、放課後のクラブ活動をこの時間にやるのです。」=グループ
以上のことを生徒自身に、自分のものという意識を強くもたせ、つねに課題とさせ、たしかめ、自主的活動のできる授業の実現に努めている。
三、カードの活用(たしかめカードは自主的活動の支え)
図1のグラフをみるとわかるように九十五・五パーセントは「たしかめカードは役に立っている。」と解答している。このことからカードが自主的活動の支えになっていることがわかる。
特に表2の二、三年生用のカードのグループマッチの記録は、スポーツの生活化をめざしたもので、放課後に一般生徒の専用コート二面を使用して実施している。
図1
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「役にたっている」の理由
1) 技能の伸びがわかって楽しい(38.6%)
2) 練習の記録をのこせるのでよい(11.3%)
3) 反省しながら練習できるのでよい(11.3%)
4) グループの計画をたてるのにょい(11.3%)
5) 体力づくりに役立てることができる(11.3%)
6) その他(11.3%)
四、指導方法(多様化への対応はきめこまかに)
「学習の出発点は異なっている。」と前述したが、その多様化への対応はレディネステスト結果の分析に基づいて編成したグループであり、それぞれに具体的目標を持たせている。
目標を持たせる方法として、「軟式庭球授業の展開」(本校独自の手びき書)を各グループに一冊づつ配布して行わせる。
この手びき書により、初心者グループは、第一時限目の計画から、経験者グループは、第十時限目の計画から実施するといったように、その出発点を異にして、学習内容もそれにあわせて活動するようにしている。
ときには、経験者グループが、初心者グループのリーダーや指導者になり学習内容が単調にならないような配慮をしている。
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