教育福島0045号(1979年(S54)10月)-022page

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特集

 

本校の電子計算機関係設備はCPU及びその周辺機器、電子計算機教育のためのビデオ装置などがそろっていて極めて恵まれた環境である。これを生かしてできるだけ多くの生徒に抵抗なく、電子計算機利用の態度、知識を与えられるよう授業展開のためのくふうが必要であると思われる。

 

一、プログラムの作成過程での留意点

 

問題解決のためのプログラムの作成について生徒が積極的に取り組めるよう授業では最初の段階で、特に次のような事がらをじゅうぶん確認させ、生徒が電子計算機を使ってなにをするのかという意識をはっきり持たせる。

(1) 電子計算機を用いて帳票類の処理を行うためには事前に処理すべき内容、要求される種々の項目等の検討。

(2) 電子計算機に処理させる場合の作業の順序の明確化。フローチャートの作成、理解。

(3) プログラミングを行う場合に必要なデーターの入力、データーの処理結果の出力形式についてのじゅうぶんな理解。

 

二、学習過程におけるつまずきとその対策

 

課題の必要とする処理内容を理解しフローチャートを作成、これに基づいてコーディングを行っていくわけであるが、この場合主記憶装置におけるデータなどの格納場所の設定、入力エリア、出力エリアの確保などの記述の理解がたいせつである。初めてコボルを学習するものにとって、データディビジョンで記述されるデータの設計や論理的性質とプロセジュアディビジョンで処理される内容との関連が明確につかめないまま例題等のコーディングをまねて、全く違ったデータ名を使ってしまうケースがある。そこでコボルプログラムの構造を全体的には握し、データ部に記述される項目を理解するために図1および図2を示し、特にデータ部において記述される項目と主記憶装置内部の割りつけについては、OHPなどを利用すると効果的であろう。

また図1に見るようにデータ等に名前をつけるのであるが、プロセジュアディビジョンにおいて、別な名称になったり、あるいは混同して使用されたりすることのないように名前のつけ方などのくふうをさせることもたいせつなことである。データの名前をつける場合、そこに統一したものを持っていると、コーディングするとき非常に便利であるし、誤りも少なくなる。しかしコーディングが容易になるようにとデータ名をあまり簡単な略語などを使うと、プログラムの修正等のとき、自分で作ったものでもなにをあらわしているかわからなくなってしまうので、いくらか長くなっても見てすぐにわかる名前をつけることがたいせつであろう。指導者の立場においてもプログラムの流れをつかむのにわかりやすい。

フローチャートがいく分複雑になってくるとコーディングがどこまでいったかわからなくなり、コーディングしたところをもう一度書いてみたり、あるいはぬかしてしまったりする場合も見受けられる。このようなことを防ぐには、フローチャートにコーディングする順番を記載させると有効な手段となる。そしてとくにフローチャートのそれぞれの記号に対応するコボル言語の命令の書き方に注意する。

コボルで許されていない文字を使用したような場合の文法上のミスは比較的簡単にわかるが、フローチャートでデータの処理手順や感違いによって誤った流れ図を作成しコーディングをした場合のいわゆる論理的なミスは簡単に発見できないので、じゅうぶん注意させることが必要である。

 

図1

COBOLプログラムの構造

論理的なミスで多く発生するのは次のようなものである。

 

論理的なミスで多く発生するのは次のようなものである。

(1) 命令につける名前を二重につけてしまう場合やデータ名が重複している場合など。

(2) 繰り返し同じ作業をさせる場合などのカウントの間違い。

(3) 判断処理の際の内容の変化がじゅうぶんは握されていない場合。

(4) IF文などでのピリオドの位置についての不注意。

特に印刷行数のカウントをし、一定の条件に達したときにページ合計を印字したり改ページをさせるような場合に行数カウントを行わせる場所が適切

 

 

 


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