教育福島0045号(1979年(S54)10月)-035page

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八万六千五百冊となっており、登録者は三千八百二十五名であるが、貸し出し者数の推移は表2のとおりである。特に、五十三年における一般・児童の急激な伸びがあったにもかかわらず学生の漸減傾向は、高校図書館の充実、受験戦争の影響がその一因であろうが、昭和二十年代における勉強の場としての図書館は終わりを告げ、今日の社会教育の中での図書館の性格を明確にしている。

昭和三十七年にスタートした“ブックモビール”“あいづね”による自動車文庫は七十九駐車場を四週間周期で巡回し、登録者千五百十八、年間三万千六百二十冊の利用がある。農村部中心の当初から見ると、市街地周辺の新興住宅団地の利用が急増しており、ここでも、余暇時代における図書館の果たすべき役割を示唆している。

 

児童と地域文庫

表2に見られる児童の利用は、本館に近接する小学校との連携をテスト的に試みた結果でもあるが、登録者数千七百九十一、貸し出し総数は四万六千三百五十八冊となっており、今年度の土・日開館によりさらに増加が見られている。TV時代にあっても“子供は本好き”なのである。

このことから、前年度において、本館から二、三キロメートルにある住宅地において、地域文庫の開設を図った。これは、地元の母親グループとの話し合い、さらには県立図書館の親子読書運動の結びつきの中から始まったものである。

現在アカシア文庫(一箕町)、かながわ文庫(金川町)、緑町児童文庫の三か所であるが、今後とも増設の方向で文庫活動の助長を図ることとしている。いずれの文庫においても、図書館の本を五百冊前後貸し出し、ボランティアの母親が運営し、毎週一回土曜または日曜に百人から百五十人の子供が集まっている。この母親グループの活動がコミュニティづくりの一端をになっていることも見逃せないことである。

 

児童文庫開会式(金川町)

児童文庫開会式(金川町)

林間子ども図書館(陶芸教室)

林間子ども図書館(陶芸教室)

アカシア文庫の活動(居合団地)

アカシア文庫の活動(居合団地)

 

おわりに

 

公共図書館の活動は、本館ひとつのものではなく、どこでも、だれでも、いつでも利用できるよう図書館網が形成されるべきことはいうまでもない。

この観点から、市のまちづくり計画の見直し、中期計画の検討がなされている。目標に到達するまでに過渡的な型で努力すべき難問を解決する中で、また資料整備整理の充実も図られねばならない。つまりは市民サービスに徹することにある。

 

 

 


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