教育福島0045号(1979年(S54)10月)-042page

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本県の公共図書館(3)

−白河市立図書館−

 

館長 阿部伊平

 

●図書館コーナー●

●図書館コーナー●

 

あゆみ

 

明治四十二年、今からざっと七十年前に、町立白河図書館が設立された。役場や学校などに間借りをしながら流転を重ね、市制施行とともに白河市立図書館と改称、蔵書三千七百五十三冊を収めて、やっと独立館に落ちついたのは昭和二十四年四月であった。五月には県立図書館白河分館を併設したが、市政の片隈に追いやられた時代が長く続いた。そして昭和四十四年四月、待望の新館が完成し、ようやく図書館としての機能が動き出してから今年で十年目を迎える。

市民会館、市役所に隣接し、市の中心部にしては比較的静かな環境の中で今は夏休みも終盤近く、毎日小中高校生、大学生で大いににぎわいをみせており、特に郷土資料室はその応待に多忙を極めている。

 

建物

 

鉄筋コンクリート三階建は、延べ面積が百七十七平方メートルである。玄関を入ると一階は新聞雑誌コーナー、児童室、郷土資料室、製本室、事務室、館長室など。二階に昇ると一般閲覧室、書庫、キャレルを含め二十余席。三階は資料室、視聴覚室、各階に通じる図書用リフトがある。

その中で六人の職員が各分掌を担当している。すなわち、館長ほか、係長一、管理係一、奉仕係は二人の司書を含めて三である。図書館協議会委員は一号委員、二号委員、五号委員各二人の六人で、年四回協議会を開いている。

 

蔵書

 

昭和五十四年四月一日現在の蔵書数は一般図書二万三千二百冊、児童図書四千二百冊、郷土資料千六百冊、計二万九千冊で、年間増は、冊数で千九百冊にすぎず、人口四万三千の市の図書館としては、まことに弱小図書館である。それにしても、図書館がその地域の文化・社会の充実・発展の度合いを計るバロメーターと呼ばれている今日、市民に対する私たちの責務は、まさに重いことを自覚しなければならない。

 

運営概要

 

個人貸し出しは登録制で一回二冊まで、十日間。館外奉仕用図書は六十冊くらいを三か月ごとに配本し、遠隔地の人々に喜ばれながら利用者の拡大を図っている。開館時間は午前九時半から午後六時までで、土曜日は午後一時まで。休館日は日曜日、祝祭日、毎月末日、ばく書期間(四月の上旬一週間)としている。

毎年五月に開催している「児童読書感想画展」は、小中学生の読書振興のための一翼を担い、好評を博している行事の一つである。館報「卯の花」は十年間続いている広報誌で、新着図書の案内や白河地方の郷土史、史跡、伝説等々、ふるさとシリーズを連載し、年六回(隔月)、全戸配布(一万三千部)として発行している。また蔵書目録、郷土資料記事索引、白河市史索引、白河市略年表全三巻などを発刊し、利用者の手引として役立っている。

利用状況は次のとおりである。

 

(館外奉仕図書貸し出し、館内閲覧は含まず)

(館外奉仕図書貸し出し、館内閲覧は含まず)

 

むすび

 

誰でも、どこでも、どんな本でも、すぐ読めるようにすることが、図書館サービスの目標である。単に施設を建て、一定の活動をはじめるだけで、図書館がもっている多様な機能をじゅうぶん発輝できるものではないことは、十年の歴史が物語っている。

図書館活動を活発にするとともに、図書購入費を倍増し、新刊図書の増加によって図書館を新鮮化して、利用人口の拡大を図ることに努力の積み重ねが必要であることを痛感する戸また、国や県の図書館振興の政策をさらに増強させねばならないと思う。

建物もBMも勿論重要だが、図書館の最も重要な資源となる図書購入費の大幅な補助が、弱小図書館の切実な要求であることを知って欲しいものである。

 

 

 


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