教育福島0045号(1979年(S54)10月)-043page

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知っておきたい教育法令

 

指導要録

 

一、指導要録の意義

 

指導要録は、児童等の学籍並びに指導の過程及び結果の要約を記録し、その指導のための資料とするとともに、外部に対する証明等に役立たせるための原簿としての性格を有するものである。(昭和四十六、二、二十七文初初第一五〇文部省初中局長通知参照。)法令上は、児童等の学習及び健康の状況を記録した書類の原本をいうと定義されている。(学校教育法施行規則第十二条の三参照。)

指導要録の前身である「学籍簿」は、明治三十三年小学校令施行規則によって設けられ、以来法定の公簿として使われてきた。そして昭和二十四年、文部省通知によって指導要録と改められ、同二十五年十月九日に学校教育法施行規則の一部改正が行われ、法令上も指導要録と改称された。

 

二、指導要録の作成、様式等

 

前記施行規則第十二条の三で規定するとおり、指導要録は校長が作成しなければならない。しかし、このことは実際上も校長が作成することまで意味するのではなく、直接児童等の学習指導を担当する学級担任等が記入することはいうまでもない。

次に、指導要録の様式や記入要領等は、学校を所管する教育委員会が定めるものと解されている。(地教行法第二十三条参照。)しかし、公簿としての性格や転学等の際の指導の継続性等から、その様式に統一性をもたせる必要がある。このため、従来文部省では、各都道府県教育委員会に対し指導要録の記入要領や様式等を指導してきている。各都道府県教育委員会は、この指導に基づき所管する学校の指導要録を定めるとともに市町村教育委員会に基準案を示し、指導要録の統一性をはかっている。

 

三、指導要録の取り扱い

 

作成された指導要録の取り扱いについては、児童等が進学した場合は、当該児童等の指導要録の抄本を作成して進学先の校長に送付しなければならず(学校教育法施行規則第十二条の三第二項)、転学した場合は、指導要録の写を作成して転学先の校長に送付しなければならない。(同条第三項参照。)

また、前述の文部省初中局長通知によって、児童等が教護院又は少年院に入院した場合には当該児童等の指導要録の写を、外国にある学校等に入学した場合は求めに応じて指導要録の写や抄本をそれぞれの長に送付しなければならないことになっている。これとは逆に、教護院又は少年院から児童等が編入学してきた場合には、長の発行した証明書及び指導要録に準ずる記録の写の送付を受け、外国の学校からの編入学の場合にも、できるだけその履修状況の証明書や指導に関する記録の写の送付を受け、いずれの場合にも編入学した日以降の当該児童等の指導要録を新たに作成することになる。

ところで、指導要録の原本は、当該児童等の卒業あるいは転学後二十年間、転学の際送付を受けた写は、当該児童等の卒業後二十年間保存し、抄本は、生徒が当該学校に在学する期間保存することになっている。また学校が廃止になった場合は、その学校を所管していた教育委員会が、学校で保存していた時期を含めて二十年間保存しなければならない。(学校教育法施行規則第十五条第二項、第三項参照。)

なお、就職等の際に証明書を作成するに当たっては、単に指導要録の記載事項をそのまま転記することは必ずしも適当でない場合もあるので、証明の目的に応じて、必要な事項を記載するよう注意しなければならない。

 

四、学齢簿との照合

 

前述した通知によって、指導要録の「学籍の記録」は原則として学齢簿の記載事項に基づき、学年当初及び異動の生じたときに記入することになるので、この欄について加除訂正等が生じたときは、校長はすみやかに当該教育委員会と連絡をとったり、毎年一回以上は学齢簿と指導要録の照合を行い、常に両者の記載事項に相違のないようにしておく必要がある。

 

 

 


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