教育福島0047号(1979年(S54)12月)-009page
親としてショッキングなのは、中途退学者がふえているということである。学校教育を充実して、社会に役立つ人間の育成を図るべきではないか。
人間教育を期待して(吉原氏)
個性を伸ばす指導
竹内
高校教育の充実を喜ぶのは生徒である。一週間にわたって高校生にインタビューしてみた。
「何が学校で一番楽しいか」の質問に対し、就職組の生徒たちは、「昼の弁当の時間」「友達と話をするとき」と答えている。また「JRC等の奉仕活動をすることが楽しい」と答えている。このことから、個性を伸ばす教育を中核にして、積極性のある心の豊かな生徒を育てる教育が望まれているのではないか。
高校教育は、進学ということばかりに先ばしっているが、全入は必ずしも幸せになるとは限らない。主婦の立場からみると、有名校の先生がたは、進学率が上がるのを喜んでいる。
教師のいかんによって、生徒は伸びるので教員の適正配置が必要である。また、進路指導を教師にまかせることは問題で、親も自分の子供の能力をよく考えるべきである。
我妻
進学率の向上に伴い、指導内容、方法の充実を図る研究が必要である。また、人間としての生き方についての指導を、もっと充実させなければならないのではないか。栃木県では、宿泊訓練をとり入れている学校もあるようだ。
司会
進学率の向上に伴う生徒指導の問題、中途退学者など、非行に走る問題、学校較差の問題、施設設備の問題、学区制の問題など、いろいろな角度から高校教育についてのご意見をいただきましたが、さらにご意見があればどうぞ。
桜井
いままでの話の中で、私学及び公立学校の連絡提携の一本化の方向については賛成できるが、私学を教育委員会に所管させることは問題である。設置者が違うので一本化することはできない。
次に教員の問題だが、どうやったら「おちこぼし」をなくすことができるか教師自身もよく考えている。教師は一生けんめいやっているが、なかなかかみあわないというのが現状である。
司会
それでは、高校教育課からお願いします。
高等学校教育課主幹
高校教育について多方面にわたる御意見をいただきありがとうございました。御意見の趣旨をふまえて改善すべき点は改善するように努力していきたい。
進学率の向上に関連して起こるいろいろな問題は、社会的背景と深くかかわりを持っており、簡単にはいかないと思うが、高校は国民的教育機関としての性格を強めており、それにふさわしい性格・内容を明らかにして教師自身の教育観、教師の姿勢を問い直して対応しないと、ただ今、皆さんから御指摘があったような問題は解決できないのではないかと思う。
すなわち、高校教育を洗い直して新しい高校像を求めて、教師自身も、社会全体も、新しい高校教育についての共通理解を図ることが、基本的にたいせつであると考えている。
また、このことを考えていくとともに、現実に今、目の前にいる子供たちをどのようにしてより良くしていくかを考えることが重要なことであり、それには御提言いただいた一つ一つのことを解決していく努力が必要であると思う。
現行指導要領は、四十八年度から施行されたが、本県における今年の進学率は九十一・五パーセントであり、その上昇は、四十二年当時とくらべて、約二十数パーセントになっている。
したがって、当然その発想を転換し