教育福島0047号(1979年(S54)12月)-021page
防災工事のため休館したので、前年度と比較することはできないが、利用人員で二十二万三千人を数えた。
主な施設における利用状況をみると文化会館では、大ホールにおける催し物が八十回、小ホールが百七回に及んでいるが、このうち四十パーセント強が音楽会のための利用で、式典・大会がこれに続いており、こうした文化会館利用の傾向は毎年度変らないようである。
美術博物館の展示室は三階では五十三年度の可動日数百八十二日に対して百五十日が美術展に利用されており、当センターの企画展のほか県総合美術展、二科展、福島市美展、美術協会展など計十四回の展覧会がきれ目なく催されている。十一月以降冬期間は工事のため、収蔵作品展はカットされた。
なお五か月にわたった防災工事により、スプリンクラー及びガス消火設備を主体として非常用放送設備、避難誘導灯の改善など、非賞災害時における利用者の安全がよりいっそう確保されることになった。
十六、県立美術館・博物館の建設
昭和五十二年度の文化を考える県民会議・五十三年度の文化振興会議の、「新構想に基づく県立博物館・美術館の整備は、昭和六十年度を目途として建設するものとし、昭和五十四年度当初から同時に建設準備作業に入り、その過程で、見通しのついたものから順に、建設に着手されたい」の報告を受けて、当該事業推進のため、本年四月文化施設班一五名一が設置された。
班の発足と同時に県外調査・情報収集を重ね、ぼう大な基礎資料・比較資料及び検討素材とそのバック・データー等の作成準備作業を進めた。
施設を決定づける大原則となるのは1)目的2)性格3)機能4)位置5)規模6)施設内容7)組織の七項から成る基本構想で、その策定のため、六月一日付で、次の十人の県立美術館基本構想検討委員を委嘱した。
専門委員(兼)委員
三木多聞(東京国立近代美術館企画資料課長)
委員 大島清次(栃木県立美術館副館長)
委員 嘉門安雄(ブリジストン美術館長)
委員 西田秀穂(東北大学文学部教授)
委員 磯崎康彦(福島大学教育学部助教授)
委員 斎藤発生((財)県文化センター美術資料課長)
委員(委員長) 佐藤光(元県教育長)
委員 佐藤平(日本大学工学部助教授)
委員 山川忠義(県美術家連盟委員長)
委員 渡辺到源(県芸術文化団体連合会長)
以上のメンバーで、第一回基本構想検討委員会が、七月二十三日に開催された。席上松平知事から、大要次の三点にわたる挨拶があった。
文化振興は県政の柱で、ことしを文化元年と位置づけて、県民文化の向上を強力に推進する。本県は、中央的な要素と北方的要素の接点にあって、そのためユニークな文化がはぐくまれてきたので、その特性に基づく新たな地域文化の創造が願いである。県民一人一人が向上を図るための、中核的施設として美術館の建設を進めたい。
会議は、文化振興会議の提言にある1)収集資料は近代以降とし、古美術も対象とする。2)貸ギャラリーはしない。3)美術館、博物館の順に建設する。4)建設場所選定の留意点の四項についてフリー・トーキングで進められ、基本的にはこの方向で合意が得られた。
第二回の委員会は、九月二十日に開催し、各項目について検討を加え、1)近代美術館的性格とすること2)敷地は敢低三万平方メートルは必要なこと等の点で意見の一致をみた。
第三回の委員会は、十一月十二日に開催の予定で、午前・午後にわたって全項目を集中的・具体的に検討し、施設の概要が提示されるものと思われる。
引き続き十二月中旬に第四回、一月上旬に最終回の委員会をもって基本構想成案の報告がなされる予定である。
この報告をもとに、二月に建設委員会を設置し、施設の内容を具体的に数量化する運びとなっている。
県立博物館は、年内に基本構想検討委員十二名を選任委嘱し、一月に第一回委員会の開催が予定されている。
なお、県立美術館の開館は昭和五十九年、博物館は六十一年を目途としている。
文化財の保護
一、文化財の保護
昨年十二月号掲載後に国、県指定の文化財として次のとおり指定され、その保護をみることとなった。
天鏡閣