教育福島0047号(1979年(S54)12月)-022page
○国指定重要文化財
建造物
天鏡閣 三棟
本館・別館・表門
所在地 耶麻郡猪苗代町大字翁沢字御殿山一〇四八の一四
所有者 福島県
はじめは有栖川宮の別邸として建てられ、のち高松宮別邸となりへ現在は福島県の所有となっている。
本館は木造、二階建、八角塔屋付でルネッサンス風の洋式になり、気品のある洗練された意匠を持つ。
改造が少く、暖炉や照明器具、天井の漆喰飾りなどもよく残っている。従業員用の別館や表門もほぼ同時期のものである。
福生寺短音堂 一棟
所在地 大沼郡会津高田町字富岡
所有者福生寺
福庄寺観音堂
観音堂は方三間、宝形造、禅宗様の建物で、現状は向拝の付設、鉄板葺屋根、正面柱間装置の後世改変などによって外観を多少損じている。しかし台輪、頭貫の木鼻や組物の形状などは、室町時代末期の様式を示しており、ほぼこのころの建立にかかるものと察せられる。会津地方における同種の遺構の一つとして価値がある。
厨子はやや時代がさがるが細部は地方色をよく示しており興味深い。
○重要有形民俗文化財
会津の製蝋用具及び蝋釜屋
所在地 耶麻郡猪苗代町大字三ツ和字前田三十三番地の一 会津民俗館
所有者 会津若松市米代一丁目三番二号 渡部 呈
会津の蝋そく作りは、只見川及び阿賀野川添えに生育する漆の木の実蝋を原料として営まれ、江戸時代には藩主の漆樹栽培の奨励と製品の専売制度によってその生産量を高め、薩摩、松江の櫨蝋や庄内、仙台の漆蝋などと並んで全国的に著名な産地として知られた。さらに、明治以降にあってもこの蝋そくは、農山漁村における灯火のひとつとして、その需要に応じてきた。
この収集には、会津地方で使用された製蝋関連用具を巨細にとりまとめるとともに、残存する数少ない蝋釜の一棟が含まれている。
○県指定重要文化財
建造物
旧山内家住宅
所在地 南会津郡南郷村大字界字川久保五七四番地の四
所有者 南郷村
旧山内家住宅
もと同村鴒巣村中二十番地にあったものを所有者山内家が改築に際して南郷村が寄贈を受け、現在地に移築復元したもので、移築後は村民俗資料館として使用している。復元後の規模は下屋を含めて平面積五十七・五坪におよぶ直家で、「にわ」を加えて四室列、ヒロマ型の平面をもつ、「ざしき」前および側面通りには、会津地方には例の少ない内縁を備えている。
この住居は十八世紀後半における会津地方上層農民の住居形態を伝える遺構として貴重である。
桑折寺山門
所在地 伊達郡桑折町字新町…番地
所有者 桑折寺
桑折寺山門
天文十七年(一五四八)現在の桑折町両方に位置した赤舘両山城が破却されて、城主伊達氏が米沢城に移る際、城内にあった門をこの桑折寺で拝領して移築したものであると口伝している。
この門は、切妻の唐破風を正面にみせているいわゆる向唐門である。平面は、八角形断面の主柱・控柱それぞれ一対の奥に、方形断面の門楔一対を配する四脚門形式で、前方の主柱間には別に方位を組んで扉一対をとりつけている。
細部の主調は禅宗様で、丈が高く簡素な蟇股や、やはり簡素な渦文の木鼻あるいは蟇股をはじめとして台輪先端や木鼻などの鋭い錆などは、禅宗様の崩れの少ない時代の作といってよく、