教育福島0047号(1979年(S54)12月)-024page
畑一六八番地
所有者 阿弥陀寺
刺繍阿弥陀三尊来迎掛幅
画面中央にやや大きく上品下生印の阿弥陀如来が、四十八光芒の光背を負って立ち、その下に蓮台を捧げ、腰をかがめる観音と合掌する勢至が、それぞれ降下する瑞雲に乗って並列する通常の構図になっている。特徴的なのは上方左右に薬師と釈迦と思われる二体の如来形が描かれていることと、右下に屋舎なく僧形の行者が、白毫の光に浴するよう配されていることである。
掛幅の地色は繧(はなだ)色、阿弥陀の光背は金茶と緑で刺繍され、阿弥陀の螺髪、袈裟の条葉部分、菩薩の髪などは髪繍である。衣裳は、さし繍い平繍い、留繍い、駒刺しであらわされている。
この掛幅は、技術的にもすぐれており、中央からの将来物にまちがいない、関東・東北地方では例が少なく貴重である。
○重要有形民俗文化財
大平三島神社の古面
所在地 二本松市本町一丁目一〇二 二本松市歴史資料館
所有者 二本松市矢ノ戸四一九
三島神社
大平一島神社の古面
尉面二、姥面らしきもの一、女面一、病見二、その他男面四の十口で、いずれも彩色は剥落はなはだしく、一部欠損もあるが、それらを除いては、ほぼ原形はとどめている。
概して彫深く、面相に独特のものがある。文化元年の序ある『松藩捜古』の大平・三島明神の項に記載があるように、鎌倉末期の作と思われる。
この面は、単なる信仰面ではなく、劇的なものに用いられていることは明らかで、当時、古猿楽がこの辺でも行われていたことを示しており、日本の芸能史上にも貴重な遺品である。ただし、今日猿楽に関する伝承は全くない。現在二本松資料館に展示してある。
八槻都々古別神社の古面
所在地 東白川郡棚倉町大字八槻字大宮六六
所有者 八槻淳良
八槻都々古別神社の古面
都々古別神社は、延喜式内の古社である。古面は十五口あり、他に掛面と思われる木彫の鬼面二口も残っている。この十五口は同時のものではなく、そのりちの一面は、確かに非常に古い作と見受けられる。また鬼面は追灘に用いられたもののようである。これらは舞楽延年面ともいうべきもので、古風な、舞楽くずしの舞に用いられたかと思われる。残り二口の女面は、猿楽面と思われる。これらは面として奉納されたものではなく、この宮でこれらをつけて演技されたものと思われ、芸能史的にもはなはだ貴重な遺物といえる。○重要無形民俗文化財
会津田島祇園祭
所在地 南会津郡田島町大字田島保護団体 産土奉賛会
会津田島祇園祭
これは南会津郡田島町宮本の田出宇賀・熊野両社の祭りで、古くは牛頭天王社の祭りであった。明治初年、天王社は田出宇賀神社に合祀されて、田出宇賀神社の祭りが祇園祭りとなり、さらに別に行われていた熊野神社の祭りを明治十二年から、いっしょに行うようになって現在に至っている。
祭りは、その年の党屋が中心になって進められる。年間の神事は、一月十五日の「御党屋千度参り」からはじまり、七月七日から同二十一日まで、連日多彩な神事や芸能が続く。