教育福島0047号(1979年(S54)12月)-026page
大光寺供養塔 一基
所在地 大沼郡会津高田町大字藤家館字村北一四〇番地
所有者 大光寺
大光寺供養塔
塔高百五十九センチメートル、頂部は三角形で二条の切り込み線が正面、左右にある。身部上面に阿弥陀如来を示す種字キリークが陰刻されている。使用された石材は当地方産の仏沢系安山岩質熔結凝灰岩の軟質材で、一見荒々しく粗野に見えるが種字、銘文の大きさに、造建時代の迫力がみられる。本供養塔は秩父緑泥片岩(青石)の多い関東地方の初期石造供養塔と比較して材質及び、形態上特異の地位を占めている。在銘の種字供養塔の中では、北関東及び、本県をはじめとする東北諸県の同種のものの祖形として貴重である。
常世原田遺跡
所在地 耶麻郡塩川町大字常世字原田字三百刈字クツ塚字大場作地内
所有者 諏訪神社ほか三十八名
常世原田遺跡は、国鉄磐越西線塩川駅の北東約四、五キロメートル、雄国山麓の斜面の一角に位置している。
本遺跡は縄文早期、中期、後期前半と長い間に営まれた集落遺跡である。とくに本遺跡の中央部の東西約百三十メートル、南北約四十メートルの範囲に限って早期の遺物が集中的に発見されている。また、早期の遺物の出土する範囲の東西に接して、縄文前期、中期、後期前半の遺物が出土している。本遺跡の場合には、遺物包含層の範囲も広く、出土遺物も種類、出土量ともに本県内の早期の遺跡として卓越した地位を占めている。出土土器は、常世式土器の標式資料であり、考古学の研究史の上でも本遺跡は極めて重要である。
二、文化財パトロール
県内に所在する文化財の管理状況を常時は握し、文化財保護の万全を期するため、民間有識者十六名を文化財保護指導委員に委嘱し、パトロール計画に基づいて、年二回定期的に文化財の巡視をおこなっている。
文化財指導委員は指定の建造物、史跡、名勝、天然記念物及び重要遺跡等を巡視し、巡視結果を県教育事務所長に報告する。また市町村教育委員会の協力のもとに、文化財の所有者その他の関係者に文化財の保護に関する指導助言をするとともに地域住民に対し、文化財保護思想について普及活動を行っている。
現在の文化財保護指導委員は表8のとおりである。
表8 昭和54年度文化財保護指導委員
三、文化財保護指導者講習会
文化財に関する知識の普及と愛護精神の高揚をはかることを目的として、例年文化財保護指導者講習会を実施している。本年は五月十七、十八日の両日、白河市文化センターで開催され、参加者は百七十一名にのぼった。三名の講師による講義、二つの分科会での研究協議は、いずれも現実的問題を含み真剣な質疑、討議が行われた。第二日の午後は現地研修として、白河関や