教育福島0047号(1979年(S54)12月)-045page

[検索] [目次] [PDF] [前] [次]

知っておきたい

 

教育法令

 

教職員の研修

 

一、はじめに

 

「教育公務員は、その職責を遂行するために、絶えず研究と修養に努めなければならない。」(教特法十九条一項)と規定されている。教育公務員の職責は一般公務員に比べて特殊性を有するところがら、地公法以外にこのような特例規定を設け、その職責遂行と研修の不可欠性を定めている。そこで今回は教育公務員の研修に関し法令等と関連させながら述べることとする。

 

二、研修の機会とその主催者

 

教育公務員の研修のための研究会、講習会は法令上

(一)文部大臣が主催するもの(地教行法四十八条二項)

(二)都道府県教育委員会もしくは市町村教育委員会が主催するもの(地公法三十九条二項、地教行法四十八条二項、四十五条一項)また、市町村教育委員会は都道府県教育委員会が行う県費負担教職員の研修に協力すべきもの(同法四十五条二項)

(三)国、地方公共団体、その他の機関、大学などの教育機関、各種の教育研究団体などが主催するもの(昭三十、十、六、自治庁公務員課長回答)となっており、教特法二十条一項の研修を受ける機会を与えるべく、各種の研究会、講習会等が開催されるわけである。

 

三、研修をする際の服務態様

 

研修をする際には服務上の取り扱いが付随的に生ずるので以下いくつかに分けて述べる。

(一)職務命令によって研修をする場合

研修の内容が職務と同等であると服務監督権者が判断した場合、市町村教育委員会や校長など上司から職務命令として研修会等に参加し研修を義務づけられる場合である。この場合は研修に従事すること自体が職務遂行そのものであるので、勤務時間に当たる研修の時間は職務専念の義務を負っている。

また勤務場所を離れて行う場合は公務上の出張として扱われる。教師は自己の都合によってこれを拒否することはできず、拒否すれば通常の職務命令同様、職務命令違反(地公法三十二条)となる。

(二)職専免によって研修をする場合

教特法二十条二項の規定を根拠とする研修の場合である。一般の地方公務員については通常「職務に専念する義務の特例に関する条例」二条一号によって職務専念義務が免除されるが、教員については教特法二十条二項が、地公法三十五条にいう「法律の特別の定め」となり、右の条例の適用をまつまでもなく本属長の承認があれば職務専念義務が免除される。ここでいう「本属長」とは上司というほどの意味であり通常は校長であるが、任命権者である教育委員会(県費負担教職員については市町村教育委員会)も含まれると解すべきであろう。この承認を与えるかどうかは、1)授業に支障がないかどうか 2)職務との関連が密接であるかどうか 3)その研修が職務遂行に建設的に役立つものであるかどうかの判断による。そのためにはある程度の事前計画の提出、事後の結果報告が必要である。

また実態としてはこの制度は長期休業中のいわゆる自宅研修として活用されてもいる。

(三)年次有給休暇あるいは勤務時間外を利用する場合

この場合は服務上の問題は法令の上からはほとんどない。どんな種類、内容、程度の研修をしょうと自由である。

ただ人格的な修養のための研修や教師としての実質的な研修もこの時間になされることは事実として否定しがたいし、その意味からも教師である以上この時間に研修の実をあげることは大きく期待されるものである。

 

以上述べた以外に、教特法三十条三項によると、教育公務員は現職のままで長期にわたる研修を受けることができ、この趣旨を生かすために本県では「福島県教育職員の長期研修に関する規則」が制定されており、昭和五十五年度から二名の現職教員を兵庫教育大学大学院に巡遣することとなっている。

海外留学等の扱いは今後の検討課題である。

 

 

 


[検索] [目次] [PDF] [前] [次]

掲載情報の著作権は情報提供者及び福島県教育委員会に帰属します。