教育福島0048号(1980年(S55)01月)-008page
特選 研究論文
国語力を高めるための書くことの指導はどうあればよいか
白河市立白河第一小学校教諭 鈴木 信正
一、研究の趣旨
新学習指導要領に基づく国語科指導は、言語教育の立場を一貫させ低調な作文力と貧弱な語彙力の向上を目指す。
果たして、児童の普段の学習及びノート、作文などを、文字量、漢字・語句、構成、表現、内容から分析して見ると、書けない(書き慣れない)実態が歴然となる。当然のように、問題点として、
(1)文章の意味理解がふじゅうぶんである。
(2)何を書くかわからず書くのが遅い。
(3)語彙が少なく表現が単調である。などがあげられる。
そして、これらは、
(1)普段の学習が、読解にかたよっていた。
(2)書くことは、動作化と同様に読むことの一方法と見られていた。
(3)漢字語句は書き取りがほとんどだった。
という原因によるものと考えられる。
そこで、基本的能力である書く力を高めるための指導内容と方法を研究し自己の指導法の改善に努めようと考え、二年生三十七名を対象に研究した。
二、研究の内容
(一) 研究に当たっての仮説
読解と作文において、視写、文章構成、語句を計画的に指導すれば、児童は進んで書く力を高めることができる。
(二) 事前研究の段階
(1)児童の実態を客観的には握するため、意識調査、自作漢字テスト、標準学力検査を行い、分析考察を加えた。
(2)研究主題、仮説及び研究計画についての理論研究を行った。
(三) 研究実践、検証の段階
(1)児童側の評定尺度
仮説に基づく指導の結果として身につけられ高められると思われる諸技能は、次のような観点から整理されよう。
1) 順序を考え、様子のよく分かる作文(文章)を書くことができる。 作文
2) 語句学習の仕方を知り、進んで語彙を増す学習ができる。 語句テスト
3) 文や文章を、正しく速く美しく視写することができる。 五分間視写
4) 書くことに慣れ、進んで作文(文章)を書くことができる。作文ノート
5) 既習の漢字や語句を、書くことに使うことができる。 国語帳・作文
なお、適正に評価するため次の評定尺度を設け右の事項について判定する。
(2)教師側の評定尺度
仮説に基づく学習指導の望ましい姿を追究するため、自分の授業を客観的に評価してもらう観点と評定尺度を設定した。その主な内容は、児童側と教師側の双方について、学習の構え、技
資料1 児童側の評定尺度
資料2 検証のための単元名・教材名