教育福島0048号(1980年(S55)01月)-009page
能、態度に関して十五項目ほどあったが研究にかかわりの深い五項目は資料4−1のとおりである。
(3)検証授業計画
研究を推進し、その結果を正しく評価し判断するためには、数少ない実践では信頼できないので、資料2のとおり、年度初めから、読解並びに作文教材を選択し、仮説に基づく書くことの内容を明確にしておいた。これら仮説に基づく授業を行い前述した児童側並びに教師側双方の観点で評価して行く。
(4)検証授業に臨む前に
本研究の主題、仮説に即するため、次の四点に留意して授業に臨んできた。
1) 書くことを考慮した年間指導計画を持つ
国語科は、いずれの教材、指導内容の学習であっても、それ自体ではその学習のねらいを達成することは難しい。
つまり、書くことの指導であっても、他の書くこと及び読むことの教材との関連なしには考えられない。そこで、全教材について、書くことにかかわり合う内容を整理し、明確にした。
2) 書くことの具体的指導計画を持つ
特に作文教材においては、一単位時間ごとに学習のねらいや内容・活動、指導方法を明確にして、学習に役立てる。つまり、あらゆる書くことの教材について、指導内容を精選しておく。
3) 作文ノートを作り習慣化を図る
四月の教材「作文のノート」の学習で作られた作文帳を継続使用し、取材メモ、構想メモ、作文、さらに推敲し清書した作文などをつづり、次からの作文活動に生かすようにする。
4) 語句学習帳を併用し語彙を増す
普段の学習において、新出漢字や語句の理解を深めるだけでなく、本時のねらいを逸脱しない範囲において、同義語、対義語、反意語、字形の似た漢字集め、複合語、熟語、短文作りなどの指導を行い、語彙を増し、また、文や文章表現に使えるように指導する。
なお、文章構成や手本とする文章の視写にも使用していく。
(5)検証授業の実践と考察
全部の授業を述べる紙面がないので二つの事例を示す。資料3−1は、中心内容の読解に書くことの重要な内容である文章構成を結びつけて指導した例である。ほとんどの者は、課題解決する中で論理的な文章構成に気づき、接続語の働きを知った。また、視写を通して、事実関係を説明する文章記述の一方法を理解したり、意識せずに書き慣れるための経験を積ませるのに役立った。
資料3−2は、構成指導の中における語彙指導の例である。課題「うさぎの作文は、どんなじゅんじょで書いたらよいだろうか。」に対し、すがた形、くらし、動いているようす、思ったことの順序で良いという結論が出された。そのくらしの語句を深める中で、「生活すること。生活。生きること。」などの意味を理解した。H子は、この学習で、自分に合う言葉を選び、本時の「順序を考えて大体を書く」というめあでをやりとげた。学級の大部分の者も同程度の作文を書いた。
この二つの授業を客観的にふり返ってみると教材、「春の子もり歌」等、四回の検証授業は、資料4−1のような評価を得た。実際には十五項目あったが、研究主題及び仮説にかかわるものだけ取り上げた。この結果から、一単位時間内に位置づけた書くことの内容一書き慣れたり良い表現をまねるために書くこと、文章構成に関すること、書くために必要な語句を増すこと)がほぼ適切であり、取り上げ方もまずまずであったと考えることができる。
しかし、度数をよく見ると、読解教材に比べ作文指導にやや問題点が多く残っているようでもある。 「たんぽぽのちえ」以後は、普段の学習に着実な成果が現れてきている。
資料4−2は仮説に基づく学習の結果、何がどのように変容したかを児童側の評定尺度によりまとめたものである。
総度数百八十五のうち百四十一(七
資料3−1検証授業例(読解教材の場合●「たんぽぽのちえ」5/12時)
資料3−2検証授業例(作文教材の場合・生きもののこと 5/12時)
真剣な授業