教育福島0048号(1980年(S55)01月)-010page
十六パーセント)が評定四以上である。この中で、2)語句(語句学習の仕方、語彙)、3)視写の向上が目立っている。
(四) 研究のまとめ
(1)仮説の有効性の有無
仮説の有効性を適正に判断するため事前調査に使用した同種の標準学力検査(二年用)を実施した。資料5−1は、事前と事後を比較したものである。
最大の弱点であった句読点(文意識)、文章構成、文末表現等が特に向上した。表現(書くこと)をはじめ全体的に向上しているといえる。
しかし、助詞や接続語のはたらき、修飾語の誤りなど、書くことにたいせつな内容で伸び悩んでいるものも多い。
資料5−2は、個人がどの程度に望ましい変容をとげたかを見るため、個人成績一覧表より書き改めたものである。事後の学力検査で評定段階が向上した者の割合は六十二パーセント強であった。事前テスト(一年用)を一年三学期で評価し、事後テスト(二年用)を二年二学期で評価した。一人一人に明らかな向上が認められる。
さらに資料6を示す。これより普段の作文でも確実に力をつけつつある。
九月一日現在、自主的に学習した語句学習帳は平均三冊。書いた作文は平均十二編に及ぶ。学力と学習意欲に期待した向上が認められる。
したがって、資料4・5・6を含め総合的に判断してみると、本研究主題解決のための仮説の妥当性は認められるのではないだろうか。
三、反省及び今後の問題点
(一)研究主題が大きく焦点を絞るのに苦心した。苦しい実践の連続であったが、これまでの漢字指導、語句、語彙指導、関連指導の研究が役に立った。また、先輩同僚諸氏の応援も大きな力となった。児童の八割近くの作文を各種コンクールに出品することができたことを喜びとしたい。
(二)今後は、書くことの内容をより綿密に研究し、主述関係の変化に応じた助詞のはたらき、言語感覚をいっそう鋭くさせるための語彙の拡充、修飾語の適切な使い分け、指示語、接続語の指導などち密な指導を心がけ、作文だけに限らず日常において、より正しく美しい文章を書ける子に育てて行きたい。
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●講評
児童の国語力について詳細な分析を行い、問題点を明らかにし、書くことの指導を綿密な計画、実践、評定尺度によってその効果をたしかめている研究である。
資料4−1 検証授業の評価
(参観者による評価)
資料4−2 児童の成績の評価
〈数は該当人数、( )内はその割合(%)〉
資料5−1 学力診断プロフィール(学級)
事前 S54.4.13(N社1年用)
事後 S54.9.1(N社2年用)
資料5−2 各部に見られる変容の割合(%)
資料6 児童の作文に見られる変容(学級)