教育福島0048号(1980年(S55)01月)-016page

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科学習ができた。

○ 直接経験についての手だては、

実態をとらえ確実になってきたが児童のみずから学びとる姿勢がすこし弱く、教師にたよりがちだった。

(二) 第二年次の研究の概要(一学年)

1) 研究の視点

第一年次の反省に基づき、さらに主題にせまるために次のような研究の視点を設定し、研究を深めた。

○ 児童の驚きや感動・先行経験をたいせつに取り扱い、一人一人に確実に課題をは握させる。

○ 児童の実態に合った教材の再構成を図る。

○ 授業の中に直接経験の場を多くとり入れ自然の認識を深める。

○ 自然にむかって主体的にはたらきかけていく能力・態度を育成し、それらの生活化を図る。

○ 機会あるごとに自然とのかかわり合いを持たせ、自然を愛する心情を育てる。

2) 直接経験を重視する主体的理科学習の展開をめざしての授業研究

重点研究単元として「はるのはな」「あさがお」「日なたと日かげ」「じしゃくあそび」を決め研究に当たったが、ここでは、「じしゃくあそび」について重点的に記録する。

○ じしゃくあそび

児童は、磁石についての先行経験をかなり豊富に持っている。そのため磁石の性質を教えこんでも意味がない。

そこで遊びの要素を含む楽しい活動をしているうちに自然と磁石の性質やはたらきについて理解できるよう教材の再構成を図った。

● さかなつりきょうそう

(磁石には、付くものと付かないものがある。)

● 毛虫をとびつかせよう

(どの磁石も端ほど引きつける力が強い。)

● ちょうをとばそう

(磁石は物や空間を隔ててもはたらくが、鉄で隔てると弱くなる。)

● 磁石を使った自由なあそび

(遊びを通して学習事項のまとめをする。砂鉄集め、百面相遊び、レーシングカーあそびなど)

学習課題は、児童の先行経験や、驚き、感動したことの中からみつけ出すように計画した。そのため、教材や教具についていろいろと研究し開発をしてきた。魚つり用具のくふう、視覚的効果をねらったモールの使用、ちょうが花にとびつくくふう、記録用紙のくふう。

直接経験を効果的にさせるために、一人一人が磁石にふれる場を数多く設定し、「なすことによって学ぶ」ように計画した。また、目に見えない磁力を体感でとらえさせるためにできるだけ強力な磁石を使用させた。

みずからの力で学びとらせるための手だてとして、生活経験を学習に結びつけ、解決の見通しやつまずきの打開のために、みんなで経験を話し合い、意欲的に学習にとり組むようにした。

また、児童の磁石にいだく驚きや不思議さを活動をささえる意識の中核に持ってきて、学習を展開した。

以上のような考えのもとに、授業を展開したわけであるが、児童から、「やさしい」「たのしい」という声がたくさん聞かれた。

 

六、研究のまとめ

 

(一) 研究主題へのとり組み

児童に確実に課題をは握させるために先行経験や驚き・感動を核にして学習を進めてきたが、課題が自分たちの身近かなものであるため、一人一人が課題をしっかりとは握し、解決の見通しにも意欲的であった。

ある単元では、思い切って児童が主役となれる遊び中心に教材を再構成したが、活動と結びついた学習の良さを発揮して、学習内容の定着度が、教師の教える学習より良かった。 「なすことによって学ぶ」よい例である。

授業の中に直接経験の場を多く設定したので、児童が主体的に学習にとり組み、生き生きと行動することによって思考が活発になり、探究心がおう盛になってきている。

自然にむかって主体的にはたらきかけていく能力・態度は、授業でも育成してきたが、飼育・栽培活動、夏休みの自由研究、自然散歩などでも育成を図り、それらの日常化、生活化をはかってきた。

飼育・栽培活動や自然散歩などを通してまん然とみていた自然を主体的に観察できるようになると同時に、自然の美しさに感動し、自然を愛する心情が育ってきている。

(二) 児童の変容

理科学力テストの偏差値が良くなり理科嫌いの児童がいなくなった。理科の好きな理由としては、「おもしろい」「楽しい」などが多くなっている。

 

七、今後の問題点

 

試行錯誤的に研究を進めてきたが、主題へのとり組み方は、正しかったと評価できるが、理論的研究が不足である。

理科学力テストの結果から、生物領域のおちこみがみられる。植物・動物に接する機会を多くとり努力をしてきたわけであるが、今後は、教室を飛びだし、屋外で学習できる場の設定、地域の教材化に努力をする必要がある。

低学年の児童は、様々な面で未分化な面を残しているため、教科のわくにこだわらず、合科的に学習した方が効果的だと思われる場面が随処にみられた。合科的な指導についての研究が必要である。

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●講評

二か年にわたる理科教育の実践を克明に記録している。理科の目標から理論が展開され、指導計画、毎時の指導案、そして実践記録と構造的にまとめられている。

 

 

 


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