教育福島0051号(1980年(S55)06月)-009page

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2)学級での指導から

学活で、「自分の悩み」という題で話し合いを持った。生徒たちは、最初は「ありません」というだけであったが、三回目になって、やっとK子が、自分の悩みをみんなに打ち明けた。それに勢いづいて、男子生徒も同じ悩みを打ち明けた。(四、五日前に学園で同室のW子を呼んでK子の友人になって、陰から力づけてくれるように頼んだことが良かったのかもしれない。)

K子には、「みんなに聞いてもらいたいことがあったら言いなさい」と告げておいたが、はっきりせず、「自分の気持ちは、言わなければ他人には分かってもらえないし、他人から理解されなければ、自分は救われないのだ」ということを、K子には分からせることをねらって、K子との話し合い、学級での話し合いを続けた。もし、K子が打ち明けずに黙っていたなら、K子の問題は、解決しなかったかもしれない。

(3)変容

1)K子が、自分の悩みを訴え続けるうちに、他の生徒も、自分の悩みを話すようになり、仲間意識が、かなりでてきた。

2)一年生の二学期の後半には、困っている人を助けるような発言が多くなってきた。二年生になって、K子の入院中、勉強のことを心配し、ノートを貸してくれたのも、一年生のときの同級生である。

3)全体的に、生徒の無関心な態度は薄れてきたよう、である。しかし、反面、幼稚な考えからであろうが、おせっかいな面が強くでてきたことも否定できない。

 

四 今後の課題

生徒指導には、当然学級活動、生徒会活動、学校や学部の指導上の問題、学習指導、進路指導などが含まれる。そして、これらがからみ合って指導が行われ、児童生徒が望ましい方向に進んでいくものであることは、いうまでもない。

特に、コミュニケーションに難点のある聴覚障害児を指導するに当たっては、教師と児童生徒との緊密な心の触れ合いが重要である。

教師は、児童生徒との話し合いの大切さをいつも念頭において、指導すべきであり、児童生徒もそれを心から願っているはずである。教師は、いつもアンテナを立てて前進すべきであり、また、そのアンテナは、家庭や学園にも向け、父母の子供に対する期待などにも心を傾け、生徒指導のなんたるかを心にふまえて、歩んでいきたいと考えている。

 

学部別の実践指導

県立郡山養護学校教諭 市川元

一 本校の現状

本校は、肢体不自由教育に携わり、小学部、中学部、高等部がある。

そして、本校寄宿舎と郡山療育園があり、大部分は、親もとを離れて生活している。一部には、通学生もいるものの、学校と寄宿舎、療育園のみの生活になっている。

転入学、転出等で、一般小・中学校との交流はかなりみられるが、障害が年々重度化の傾向にあるため、今後は、こういった面での交流も漸減するものとみられる。

 

二 生徒指導上の問題点

(1)障害児特有の「甘え」があり、他人の援助を待つ意識が強く、感謝の気持ちもうすい。また、積極性にも欠ける。

(2)生活経験の不足から、自己理解と自己判断が不十分で、将来の明確な展望にも欠ける。

(3)家庭は、遠隔地にあるものが多くまた、家庭との結びつきが弱いので、協力も多くは望めない。

 

三 教育目標・生徒指導目標

教育目標にある「明るく、正しく、たくましく」は、以上述べた生徒像からの脱皮を願い、生徒指導の分野では「心の豊かな児童生徒、誠実な児童生徒、心身ともにたくましい児童生徒」であることを願いつつ、実践に努めている。

 

四 実践事項

(1)小学部「身辺自立を目ざした学級指導」

1)重点事項として取り上げた理由は、助けてもらうことに慣れ、依存心が強いので、まず、発達段階に応じた日常生活の確立のための指導が必要である。

2)内容

ア低学年では、「自分でする」ことを明確にして、最後までやりとげること。

イ中学年では、友達同士の助け合いの必要性と感謝の気持ちの育成。

ウ高学年では、児童会活動を通して、広い視野に目をやる機会をふやし、全体の中での自分の立場の理解。

3)結果と今後の努力点

ア低学年ほど重度児が多くなっているので、個人差が大きく、指導内容をはっきりつかませる工夫が必要である。

イ友達同士の助けは、安易な援助になりがちなので、場面場面での適切な指導が必要である。

ウ高学年では、個人差はあるが、自己、学級、児童会の流れの中で、立場と役割の認識がより深められる必要がある。

(2)中学部「交流教育を通しての相互理解」

1)積極的にすすめた理由は、生

 

 

 


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