教育福島0051号(1980年(S55)06月)-010page
活経験に乏しく、「自分たちの世界」のみにとじこもりがちであるので、同年齢の健常児の実態を知り、視野を広めるためである。
2)内容
ア 中学部の生徒約五十名が「少年自然の家」で、大信村立大信中生徒と一泊二日の交流行事を実施。
イ 研修活動は、生徒同士の触れ合いを多くし、すべて両校一緒に実施。
ウ 活動全体を通しての相互理解と交友関係の樹立。
小学部-送別会-
(3)高等部「生徒会活動を通しての自立」
1)本校生にとっての生徒会活動の意義は、将来への不安を除き自信を持たせること、また組織の一員としての自覚を高めるものである。
2)内容
ア 生徒会行事の実践を通し、自己の立場と任務を知る。
イ 交流では、準備、打ち合わせなどから、まとまりの大切さを知る。
3)結果と今後の努力点
ア 校内行事は、何回も経験しており、マンネリ化する傾向にあるので、工夫が必要である。
イ 他校生との接触により、自己反省する面が多かったので、それらを今後の指導に生かしたい。
小学部-交通安全教室-
五 まとめ
本校の教育の方針は、児童生徒の障害の改善、機能の向上をめざしながら、生活に希望を与え、社会の一員として自立できる人間を育成することであり、生徒指導を充実し、社会人として生活できる人間の形成に寄与したい。
一年間の指導記録から
県立富岡養護学校教諭
佐久間光弘
本校は、昭和五十三年度から県立養護学校(精神薄弱)として発足し、三年目を迎えた。今まで、生徒指導については、各担当教師の工夫と努力に任せてきた傾向がある。しかし、心身障害児の生徒指導には、一般の学校とは視点を変えたあり方や取り組み方が必要である。
ここでは、K・A児を通しての生徒指導のあり方について述べることにする。
対象児 K・A(女児)
昭和四十二年九月三十日生。知能検査測定不能。高度難聴児。抗てんかん薬服用。表出言語はほとんどない。身体は、健常児より大きく、生理がある。握力は強い。
生徒指導の原則は、個の理解であるとは周知のことである。K・A児の指導については、観察、行動の記録を手がかりにする以外有効な手段はみあたらなかった。昨年の四月以来、毎日の行動、態度、反応等の特記事項を記入する方法で記録してきた。
○朝の会のような集会活動中にきげんが悪くなると、足をバタつかせたり、近くの女児の髪をひっぱったり、両手をかぎ型にしたまま、くるくるまわったりする。
○トランポリンやスクーターのようなものを好む。また、しゃばん玉を作ったり、とばしたりする。
○キャッチボールができる。モップで室内を掃くこともできる。
これらの観察から、彼女の行動の状況を次のように分析してみた。
1 情緒が不安定になるのは
(1)気温、湿度が高いとき
(2)周囲が騒々しいとき
(3)友達などに、からかわれたとき
(4)いやなことを強制させられたとき
2 喜んだり、笑ったりするのは
(1)座席をうしろにそらせ、ガタガタ前後にゆれ動かしているとき
(2)トランポリンやスクーターで遊んでいるとき
(3)弁当を食べたり、食べおわったときに教師の弁当をのぞきこむとき
(4)背中合わせで、シーソーをしてやるときや両足を持ってやり、腕で前へ進むとき
その他、各種の能力や学習活動あるいは、生活習慣など考え合わせた結