教育福島0051号(1980年(S55)06月)-015page
明らかにし、連携を密にし援助・指導に当たる。
・ 学年・学級の実践の成果を絶えずたしかめながら援助・指導に当たる。
・ 問題が発生したときは、子供の心を大切にしながら問題状況とその要因の把握及び対策等について、組織的に迅速かつ的確に行い、事後措置も適切に行う。
・ 相互信頼を深めながら互いにみがき合う集団づくりに努める。
子供の生き方に大きな影響を与えるのは、教師や教師集団である。したがって教師自ら次のような雰囲気に満ちた集団づくりに努める必要がある。
・ 明るく活気にあふれている。
・ 親和的で心の温かさが感じられれる。
・ 協力的で相互に助け合う気分が充満している。
・ 互いに自己課題や共通課題の実現に向かって努力し、高まろうとする気概に満ちている。
教師自らこのような雰囲気づくりに努めることによって、子供たちの学年・学級集団も質的に高められていくものと考える。
・ 教師自ら啓発を図りながら「子供を見る目」をみがく。
人は他人をなんらかのレッテルを張ってみがちである。レッテルを張ることによって相手をわかったような錯覚に陥り、心の内面をとらえることを息ってしまいがちである。特に、非行を犯す恐れのある子供に対しては、それが極端であり、教師と生徒の間にあつれきの生ずることが多い。悪い者ときめつけられている子供でも見方をかえ、子供の立場に立って深くみつめると意外な良さを発見するものである。したがって教師は次の点に留意して子供を見る目をみがきあげていくことが必要である。
・ 第一印象によって認知のわくづけをしないこと。
はじめて接したときの好ましい印象(好ましくない印象)によって、それ以後のその子の言動を良い方に(悪い方に)導いてしまいがちである。したがって、教師は成長の途上にある子供にいつまでも以前のままのイメージを持って接するのではなく、常に新たな気持ちで接するよう心がける必要がある。
・ 子供のある一面的なものにとらわれて、全体像をきめつけないこと。
子供が何かよく目だつ良い(悪い)特徴を持っていると、それにとらわれてその子のすべてを良く(悪く)とらえてしまう傾向がある。教師は子供の姿を多面的にとらえなければならない。
・ 教師の好き嫌いによってその子をきめつけないこと。
好意をもっている相手については、すべての面で好意的に考え、少々のあやまちを許してしまいがちである。またその逆もある。いわゆる「えこひいき」という形であらわれる。差別として子供が最もきらうことである。
・ 教師の性格や特性を基準として子供を解釈しないこと。
子供をみつめる場合、ともすると自分自身の性格や特性を基準として子供を判断しがちである。例えば、きちょうめんな教師は、学級の子供の行動を一つ一つが気になり、だらしなくみえるなど、自分自身との比較や周囲の子供との対比でゆがんだ見方をしてしまうなどである。したがって教師は、常に広い視野から子供たちの心を正しく深くみつめるように努めることが必要である。
・ 家庭及び機関との連携を図りながら援助.指導をすすめる。
家庭は学校教育を支え、更に発展させる機能を持つものである。特に、人間形成に強い影響力を持っていることはいうまでもない。子供たちの自己実現を図るためには学校と家庭との協力がぜひとも必要である。
一方、子供たちの問題行動も社会の変化に伴って複雑化し、教師の力では処理できないものも少なくない。それぞれの専門機関との連携を深めながら援助・指導しなければならない。
【家庭との連携について】
・ PTA集会や学級懇談会等において学校教育目標の周知徹底を図り、その実現のために学校と家庭の連携の必要性について理解を深める。
・ 子供の自己目標の内容及び実践の手だてについて 保護者並びに家族の理解を深める。
・ 目標の実現をめざし、子供の自己指導を強化していくための家庭における援助のしかたについて理解を深め、連携を密にして努力する。
・ 学校と家庭との相互交流を一層深め、子供のものの見方、考え方、感じ方、行動のしかたの変容を的確にとらえるとともに、自己実現をめざした家庭の役割や援助のしかたについて相互理解を深め実践する。
・ 学年だよりや学級だより等を発行し、常に学校と家庭との心の結びつきを深めるように努める。
【専門機関との連携について】
・ 子供の自己実現を図るための各専門機関の果たす役割について理解を深める。
・ 各専門機関の機能を十分理解し、連携を密にして適切な援助・指導をすすめる。
・ 問題の有無にかかわらず相互理解を深め、必要な情報収集に努める。
二、教科.道徳・特別活動と生徒指導