教育福島0051号(1980年(S55)06月)-020page

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3)質問紙による方法

質問紙法は、知りたい問題点をいろいろな質問の形にして印刷し、一定の範囲に配布して回答を求める方法。

4)検査による方法

ア、知能検査

イ、標準学力検査

ウ、性格検査

工、ソシオメトリック・テスト

5)作文や日記による法

(2)生徒理解の資料活用

1)資料の解釈を正しく行う

観察・面接・検査・調査等の結果について解釈を得る方法を、統計的解釈法と臨床的解釈法とに分けて述べてみる。

ア、統計的解釈法

知能検査等の心理検査の結果は、偏差値、パーセンタイル、IQなどで表される。これは、統計的な基準に基づいて算出されたものである。平均的なものを正常と考え、平均から逸脱する程度がはなはだしい場合に異常と考えている。

イ、臨床的解釈法

検査結果から直ちに結論を出すのでなく、それらの結果とその他の資料とを関連づけて推論を出し、必要に応じて検査や観察・相談等を実施して推論を順次確かなものにしていく解釈方法である。

2)資料の整理を確実に行い、資料間の脈絡をつける

・全人的な理解ができるよう各種のデータを整理すること。

・観察の記録を重視すること。

3)どのような場で、どのように活用したらよいかを明確にしておく

4)各検査・調査の活用の例

ア、知能検査

・標準学力検査と比較して、新成就値分布表をつくり、オーバーアチーバー、アンダーアチーバーを調べ、個別緒導や学習指導法の改善に役だてる。

・進路指導や教育相談の基礎資料とする。

イ、学力検査

・ 知能と比較し、学力不振、学力不均衡、学業優秀者の実態をとらえ、学習指導法や個別指導の資料とする。

ウ、性格検査

・個人の性格をより客観的に、より総合的に理解するための資料とする。

・観察結果の裏づけに活用する。

工、ソシオメトリック

・学級内での位置や集団適応の程度集団の構成、下位集団間の関係などを把握し、よりよい人間関係を生み出す小集団編成の資料とする。

・社会適応異常や問題の発見に活用する。

 

4 生徒理解の留意点

・教師の主観的な誤りをなくす

・資料のかたよりに注意する

・検査結果の見方(誤差がある)

・生徒指導のための生彦理解

・共感的な理解(共感的態度で)

収集した資料を「生徒指導カード」に記録し、一人一人の生徒の総合的な診断と指導に役だてる。

生徒理解は、永遠の課題であるといわれるほど、生徒一人一人の個性は複雑で独自の特徴を持っている。

我々教師は、母性原理と父性原理の両者をあわせて持ち、生徒一人一人の自己実現を援助することが大切である。

そうすることが、生徒の自己理解を高めるとともに、望ましい方向に成長するものと考える。

 

問題行動とその指導

いわき市立小名浜第二中学校教諭

佐藤好正

 

はじめに

 

文部省「生徒指導のてびき」では、その意義を「学校がその教育目標を達成するための重要な機能の一つである」とおさえ、その意味とねらいとして五つ述べている。

しかし、担任教師は問題行動生徒をさけて通るわけにはいかないし、常に悩み考えさせられる問題である。確かに問題生徒の指導は、当面の大きな課題ではあるが、本来生徒指導は全校生徒を対象とするものであって、すべての生徒は、ゆとりのあるしかも充実した学校生活を送る中で、より正常なより健康な人格の発達が図られなければならない。そのための指導がおのずからそれぞれの生徒の非行防止への効果もあげていくのであって、これこそが生徒指導の本来のあるべき姿であろう。

もし、生徒の非行化を防止しようとするならば、学校は生徒一人一人に対して有意義で興味深い充実した学校生活を与え、生徒それぞれの持つ能力、特性に即して自己実現(生徒一人一人が自己の能力と価値を発揮したいという根源的な欲求を意味する)を助け、生徒の健全育成を図るという本来の生徒指導に全力で取り組まなければならないと思われる。生徒指導は究極するところ「教師にある」といっても過言ではないと思われる。

中学校の生徒指導では小手先の技術は通用しないとよくいわれる。生徒を動かし得るのは、生徒と共に考え、共に歩もうとする教師自身の全人格による取り組みの姿勢、意気込みであろう。生徒指導をすすめる教師の姿勢として、1)一人一人を大切にする教師2)生徒から信頼される教師3)生徒と「心のかよいあい」を願う教師4)生徒の声を聞こうとする教師5)生徒集団を育てる教師があげられる。

一人一人の生徒が人間的によりよく

 

 

 


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