教育福島0051号(1980年(S55)06月)-030page

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わたしの研究実践

 

十進位取り記数法の指導

 

白河市立白河第二小学校教諭 渡部栄

 

一 はじめに

今回の学習指導要領の改訂の要点の一つに、低学年の指導を重視することとして、従前よりも操作的な活動を取り入れ、指導の効果を一属高めるように、内容の取り扱いを工夫することが必要であるとしている。

そこで、「操作」という表現が用いられている箇所を、学習指導要領から拾い出してみると次のとおりである。

(1年)

・目標(3)具体的な操作を通して、図形や空間についての理解の基礎となる経験を豊かにすること。

・A数と計算(1)ア--対応などの操作によってものの個数を比べること。

・C図形(1)--ものの形についての観察や構成などの操作を通して、図形や空間についての理解の基礎となる経験を豊かにすること。

・C図形(1)ウ--図形を考察するときに用いる操作などに漸次着目すること。

・内容の取扱い(1)--内容のA及びBに関して、操作的な活動をさせる場合には、観点を変えて発展的な思考をさせるような指導を行う必要があること。

(2年)

・内容の取扱い(3)内容のCの(1)に関連して、平面を合同な正方形、長方形などで敷き詰めることなどの操作的な活動をさせるように配慮する必要があること。

このように、操作的な活動は学習効果をあげるためのものでなければならない。そして、実際に具体的なものを手で操作することは、具体的なもののイメージを操作して考える児童の思考を助け、また、思考を高める前段階として価値がある。

整数のかき表し方には、ふつう、十進位取り記数法が用いられている。特に低学年では、この位取り記数法の意味を、具体的な操作と結びつけて分からせていくことは大切なことなのではないかと考えたのである。

二 操作を取り入れる時の留意点

(一)操作は、操作そのものが目的ではなく、操作を通して概念の形成を助け、原理の理解を確実にし、自主的に考える態度を形成するために取り入れられるものである。そのためには、操作のねらいを明確に把握し、その目的に添った指導を心がけるようにしなければならない。

(二)児童が自分の行っていることについて何をしているのかを意識できるように配慮し、内面化を図らなければならない。

三 研究実践の概要

(一)第一次授業研究 百までの数

【一年】

1)教材の考え方

ものの個数を数える場合、はじめはものと数詞を一対一に対応させて数える。更に、2ずつ、5づつ、10ずつなど、いくつかずつにまとめて数えることは、数える力をつけるにも、また数の概念を発展させていくうえにも重要なことである。特に、10ずつまとめて「10、20、30…」と数える方法は、十進法のしくみを理解する基礎となっていく。それに、整数を数字で表す場合には十進位取り記数法によっている。

 

 

 

 

 


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