教育福島0051号(1980年(S55)06月)-039page
内容別相談件数を詳しくみると、登校拒否に関するものが、実に五百五十八件に及び、全体の四十七%にのぼっている。来談する実人数も年々増加している。(図1)しかも、これらの多くは、六か月、一年と長期化しているものが大部分である。本人の将来を考え、家庭の苦しみ、あせりを思う時、登校拒否児の早期発見と早期指導が大事である。同時に、その援助活動についても慎重に考えなければならない。
よくみかけることだが、学級担任として責任を強く感じるあまり一日も早く登校させようと必死に説得することは、かえって「登校したくても行けない」苦悩の理解に反する結果をもたらしてしまうものである。むしろ、どうしようもない子供の心的状態を察知し、一緒に考え解決していこうとする立場に立つことが重要になろう。
登校拒否の原因は、本人の性格、親子関係が強く影響するといわれている。形成要因を的確に理解する一方、子供に対しては、共感的、受容的な態度で理解していくことが、回復への援助を進める大事な要件になってこよう。
三、終了状況と今後の課題
教育相談の終了状況を示したものは表2のとおりである。
幼、小、中、高校生対象の受付件数百八十一人に対し、相談終了者は百五十六人で、終了率が八十六%と高率を占めることができた。次年度へ継続されるものは、登校拒否や自閉症などの長期的な指導を必要とするものである。
それにしても、ケースの増加と長期化にいかに対応するかが、当センターの当面の大きな課題になっている。更に、地域別来談状況をみると、ある特定地域に集中し、(表1)かたよりがみられる。会津やいわきなどの遠隔地や家庭の事情のため、来所することのできない問題行動児童生徒、ならびにその親に対して、担当所員が出張して援助指導に当たる出張相談なども試みる必要があると思われる。
図1 年次別登校拒否来談者実人数
表2 対象別相談終了状況
対象・人・率 相談実人数 相談終了人数 来年度への継続人数 終了率(%) 幼児 32 26 6 82 小学生 60 54 6 90 中学生 46 35 11 76 高校生 43 41 2 95 計 181 156 25 86
表3 昭和54年度教育相談延べ件数一覧表
(54.4.1〜55.3.31)