教育福島0052号(1980年(S55)07月)-015page
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視野からのものである。
生徒指導は親をぬきにしては成り立たない。的確な情報を提供し更に連携を密にしていきたい。
5 生徒会・部活動の実態
大多数の生徒は生徒会の必要性を認め、より一層活動を活発にしたいと考えているが、現実に積極的参加を心がけている者は少ない。これは活動についての理解不足に原因があると考えられるので、広報活動や討論等により十分な理解を図り、会員としての自覚を高めることが大切である。
部活動は全員参加で放課後五時まで一斉に展開している。ほとんどの生徒が必要であると思い、六六%の生徒が目的を持って活動しているが、積極的に参加している者は四九%と開きがある。
これについては全員参加の形や部編成を再検討して参加意欲を高める態勢づくりに努める必要がある。
6 進路に関する調査
生徒の七〇%近くは進路について明確な目標を持たずに入学し、進路に対する取り組みも遅い。したがって進路決定の時期に、希望する進路に学力が伴わない悩みを持ち、また自己理解が不十分で、職業・進学に関する知識も不確かなものが多い。
これについては継続的に進路相談を実施し、将来の生き方について考えさせ、適切な進路を選定し自ら対策を立てて努力していくよう援助していくことが大切である。
(二) 今後の進め方−次年度の展望
意欲を持たせるためには「やりたい」欲求と「やろう」とする決断と「やりぬく」意志の持続が必要である。そのためには、一人一人の生徒の実態に即して、意欲を燃やす動機づけをし、早期に目標を確立させて、その達成に努力させる指導計画を立案実践していかなければならない。その概略を次に掲げてみる。
「意欲を持たせる指導の展開」
1 目標確立のための指導
・入学時のオリエンテーション・個別面接指導・保護者の啓蒙・中学校との連携強化・教育相談の充実
2 目的意識の高場(HR活動)
・進路への取組強化・学習への取り組み強化・自己実現への主体的努力の持続
3 進路指導
(1) 就職に関する知識
・企業の活動・卒業生の活躍・自己理解・職業人としての心構え・保護者との連携
(2) 進学に関する知識
・高校以後の教育機関・学部学科の特色・取得できる資格・進学の心構え
4 学習指導
(1) わかる授業の展開
・授業を受ける態度の確立・指導内容の精選と指導法の研究
(2) やる気の持続のための指導
・学習の手引書の作成・課題による継続的指導・読書指導・保護者の協力姿勢の確立
(3) 教師の研修
・授業研究会・中学校授業参観・教育相談に関する研究
5 生徒会・部活動
(1) 生徒会活動の強化
・生徒会リーダー講習会の充実強化
・「生徒会だより」の発行・会員協力体制の確立
(2) 部活動の強化
・部編成の再検討・全員加入における効果的な練習策の検討・部活動を通しての生徒指導(教育相談)のあり方
以上、第一年次の調査研究の結果と今後の展望について、その一端を略述したが、いずれにしても、いかにして生活に意欲をもたせるかという主題はすべての高校が抱えている今日的課題である。研究指定を機会に、全校を挙げてこれまでの指導のあり方を総点検し、学校の実態に応じた研究実践に取り組んでいる川口高校に充実した成果を期待するものである。
おわりに
上述の生徒指導推進地域については、郡山市に続いて、本年度新たにいわき市が県の指定を受け活動を開始しているが、地域ぐるみの活動を展開していく過程で、健全育成のための地域の組織づくりが推進され、生徒とその保護者を含む地域住民の連帯意識−近年希薄化の一途をたどっているが−が回復の兆しを見せてくれるならば、また、保護委員会活動を通して家庭への働きかけを行うことによって、低下しつつある家庭の教育機能が回復の方向に向かうならば大きな成果といわねばならない。
研究推進校として指定を受けた学校は人一倍労苦が多いことであろうが、これを機会に従来の指導のあり方のすべてを洗い出して、学校の実態を的確に把握し、実態に基づく研究実践を展開する過程で特色ある学校づくりを進めてもらいたい。
近年、生徒の能力・意識・要求・行動様式の多様化は著しく、それに対応できる体制を整えることに、各校とも最大限の努力を傾注しているが、学校単独でこの課題の解決を図ることは不可能に近い。地域、家庭、中学校との緊密な連携によってのみ可能となる。同時に校内における研究活動を活発にして教師自身の指導力を高めるとともに、研修活動を通して教師相互の共通理解を図ることも大切である。上述の実践例をこのような校内研修の題材または資料として利用してもらいたい。
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