教育福島0052号(1980年(S55)07月)-025page
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小学校一年から六年までの学習すべき基本語彙が系統的に配列されていると都合よいのであるが、そのような系統表がないので、教科書の下の欄に載せられている語句のいくつかを中心語句として取り上げ指導した。
3) 語彙指導の手順を身につけさせ、主体的に学習できるように訓練した。
4) 国語辞典、漢字辞典の活用に力を入れ指導した。
(2) 検証・考察
1) 実験授業
ア 単元名「注文の多い料理店」(五年) −宮沢賢治作−
イ 単元の目標
情景や気持ちを想像しながら、物語のおもしろさを味わわせる。
ウ 指導計画(省略)
エ 中心語句 つう快・まごつく・なんぎする・よりそう・見くびる・手間どる・切り上げる・損害・承知
オ 本時の目標
一つ一つの語句の意味を、語彙の網の目の中で正しくとらえさせる。
・ 語句の意味を辞書で調ベノートにまとめることができる。
・ 類義語、反義語を調べ、ノートにまとめることができる。
・ 辞書の用例に類義語をあてはめてみて、その意味の異同がわかる。
・ 中心語句を使用して短文を構成することができる。
力 指導過程(資料2)
2) 実験授業の結果と考察
以上のような実験授業終了後、事前テストと同一の問題で事後テストを実施した。その結果は表3のとおりである。(一つの語句の変容については省略)
3) 「つう快」を中心語句とする語彙
指導の例
T 前の時間に文脈の中で考え、辞書を引いて調べた「つう快」の意味を復習してみましょう。
P 非常にゆ快なことです。胸がすくように気持ちのよいことです。
T では、「つう快」と似た意味をもつ語句をあげてみましょう。
P 気持ちよい。ゆ快。心ちよい。快てき。楽しい。
T それでは、次の文の〔 〕の中に、「つう快」のかわりに、これらの語句を入れてみましょう。
しかの横っぱらに、二、三発おみまいしたら、ずいぶん〔 〕だろうね。
P「ゆ快」「気持ちよい」「楽しい」はあいますが「心ちよい」と「快てき」はあわないと思います。
T それでは、「久しぶりに雨が上がり、〔 〕天気になった」の〔 〕の中に類義語を入れてみましょう。
P 気持ちよい天気、心ちよい天気、快てきな天気とは言いますが、ゆ快な天気とかつう快な天気、楽しい天気とは言いません。
T そうすると、「ゆ快」とか「つう快」には「楽しい」という要素が入っている点で、「気持ちよい」とか「快てき」と区別することができますね。−以下省略−
(3) 結論(仮説について)
変容調査の結果及びその分析・考察から「中心語句を語彙の網の目の中でとらえさせれば、語句の意味を正しく把握させることができる」という本仮説は妥当であったと思う。
四 反省と今後の問題点
(1) 中心語句は、発展性、系統性のある語句を選ぶことが必要である。同時に、学年の系統性も考慮しなければならない。
(2) 今回の実践は、特設した時間の中での指導であったが、文脈の中での語彙指導が大切である。
資料2 指導過程
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表3
正答率、有効度指数
観点事前テスト
正答率(%)事後テスト
正答率(%)有効度
指数類義語 30.7 82.5 74.7 反義語 35.0 81.0 68.9 短文構成 24.7 78.4 71.3 訓読み 2.5 95.0 94.9 総合 30.2 78.8 70.0
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